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株価ピークから6割減「オムロン」今が買い?長期投資家が注視すべきリスクと将来性=元村浩之

体温計などで誰もが知るオムロン<6645>が、今、深刻な状況に直面しています。なんと、オムロンの株価は2020年12月の最高値から足元で3分の1にまで下落してしまいました。オムロンに一体何が起きているのか、そして、この株価水準は終わりを意味するのか、それとも今が買い時なのかと疑問に思われている方も多くいらっしゃるでしょう。今回は、オムロンの株価がここまで下がった理由、現在の業績、そして今後の期待が持てるのかという点について、一つ一つ丁寧に解説していきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』元村浩之)

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プロフィール:元村 浩之(もとむら ひろゆき)
つばめ投資顧問アナリスト。1982年、長崎県生まれ。県立宗像高校、長崎大学工学部卒業。大手スポーツ小売企業入社後、店舗運営業務に従事する傍ら、ビジネスブレークスルー(BBT)大学・大学院にて企業分析スキルを習得。2022年につばめ投資顧問に入社。長期投資を通じて顧客の幸せに資するべく、経済動向、個別銘柄分析、運営サポート業務を行っている。

株価と業績の推移:劇的な下落と不安定な利益構造

<過去最高値からの急落>

直近10年間ほどの株価の推移を見ると、2015年から2016年頃から2022年初頭頃までは、株価は順調に上昇していました。

オムロン<6645> 月足(SBI証券提供)

オムロン<6645> 月足(SBI証券提供)

特にこの頃、コロナ禍での株式相場がかなり盛り上がり、バブルの様相を呈していたこともあり、株価は12,000円程度をつけました。しかし、その後は株価が急落し、一時は持ち直したものの、足元では4,000円に迫る水準まで下がってきており、最高値からは約3分の1になってしまった状況です。

<外部環境に振らされやすい業績>

直近20年間の業績推移を見ると、リーマンショックやコロナショックの不況期を除くと、売上規模は実はこの20年間でそれほど変わっていません。あまりスケールアップはしていないという印象です。

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出典:マネックス証券

一方で、営業利益の推移は激しくガタガタしており、このことから、オムロンのビジネスが外部環境要因に業績を左右されやすい性質を持っていることが想像できます。特に、2023年度から2024年度にかけて利益が大きく落ち込んでいる点が顕著です。

オムロンの主要事業と利益急落の元凶

オムロンは多岐にわたる事業を展開していますが、その中で主力の事業は以下の通りです。

  1. 制御機器事業(主軸)
  2. 工場の生産ラインを自動化させるための機器を提供しており、売上の半分近くを占めます。

  3. ヘルスケア事業
  4. 医療機器などを手掛けています。

  5. 社会システム事業
  6. 電車の改札機や蓄電関係、社会インフラのシステムなどを手掛けています。

  7. 電子部品事業
  8. 工場の自動化を支えるためのセンサーなどを中心に扱っています。

  9. データソリューション事業
  10. 2023年に買収したJMDC社の分が計上されており、データを活用した新規事業の開発を行っています。

<工場自動化関連事業の低迷>

オムロン全体の利益がガタガタと変動している原因は、やはり主力事業の制御機器事業と、それに次ぐ電子部品事業のセグメント利益が、直近10年間を見ても不安定な推移を見せていることにあります。どうやら、工場の自動化に関連するこの2つの事業の業績が芳しくないことが、全体の利益に影響を与えているのです。

Next: 外部環境の悪化に弱いビジネス構造?三菱電機やキーエンスと比較すると…

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