業績分析:急成長の背景と潜在的なリスク
業績が飛躍的に伸びている一方で、その利益の内訳には注意が必要です。特に2024年、2025年予想で純利益が急激にジャンプアップしています。
<利益のジャンプアップは一時的要因も含む>
この急激な増益の大きな要因の一つは海外事業の好調です。
これは、SBIグループと連携した大口保障案件の実行による手数料収入の計上や、UDCファイナンスリミテッドの決算期変更といった要素によってもたらされています。これらは一過性の要因である可能性が高いと考えられます。
さらに、2025年の予想利益(1,000億円)についても、ベンチャー投資の回収や負ののれんの計上など、一時的な非資金利益が寄与しているとされています。
<与信関連費用と消費者金融への依存>
- 与信関連費用(貸倒引当金)の増加傾向
- 調達コストの高さ
- 消費者金融への依存
法人業務の利益は伸びていますが、貸し出しが焦げ付くリスクを示す与信関連費用を加算した業務純益は減少しています。これは、よりリスクの高い取引が増えている懸念を示唆します。与信関連費用は、銀行の決算において「認識」のタイミングによって増減が操作できる側面があるため、将来的にリスクが顕在化する可能性は念頭に置くべきです。
預金残高は増えましたが、例えば年利1%といった高い金利で集めた資金も多く、調達コストが高いため、業務粗利益の増加は預金残高の伸びに比べて鈍い状況です。
SBI新生銀行は、消費者金融事業であるレイクを傘下に持っています。2024年度の実績では、セグメント利益の約3分の1近くがこの消費者金融事業によって支えられています。これは安定的な収益源ですが、金利の上限が決まっているため、一般の銀行ほど金利上昇の恩恵を受けにくいという側面があります。
楽天銀行の成功モデルとSBI新生銀行への期待
IPOで大成功を収めた楽天銀行は、公開価格1,400円から現在7,400円へと5倍も株価が伸びました。
楽天銀行の成功要因は、上場当初の割安感に加え、楽天証券との強固な連携による業績の継続的な成長、そして金利上昇の追い風でした。さらに、上場後の上方修正が、流動性の低い市場で株価を急騰させる「好循環」を生み出しました。
SBI新生銀行もSBI証券との連携や金利上昇の恩恵を受ける点で共通しており、同様の期待が寄せられています。
投資判断:上昇余地とリスクの比較
<成長性と金利上昇の恩恵>
SBI新生銀行が今後も成長を続け、金利上昇の恩恵を受けると、業績はさらに伸びる可能性があります。AIによるシミュレーションでは、金利が1%上昇した場合、利益は約240億円増加し、これは現在の利益水準の約1.5倍に相当します。
もしこの利益増が実現すれば、株価も1.5倍程度の上昇余地があると考えられます。
また、SBIホールディングスの北尾社長が、意図的に公開価格を控えめに設定し、株価が上昇したタイミングで第2弾の株式売却を考えている可能性も指摘されています。ブックビルディングの価格が想定価格から大きく乖離しない場合、投資機会として魅力的かもしれません。
<留意すべき点>
- 割高感
- 利回り
- 市場変動リスク
PBRで見ると、SBI新生銀行はメガバンクと比較して割高な水準にあります。ただし、今後の成長が確実であれば割高感は解消されます。
高配当は期待できないため、配当ではなく成長に期待する銘柄です。
ストラクチャードファイナンスなどの特殊な運用内容の不透明性から、市場環境が急変した場合に突発的な大きな損失を出すリスクが、一般的な銀行よりも若干高い印象があります。
結論
SBI新生銀行は、SBIグループとの強力なシナジーと金利上昇という追い風を受けており、成長への期待は非常に高いです。一方、一時的な増益要因や特殊な運用による市場変動リスクも内包しています。
投資家は、これらのリスクとリターンを総合的に評価し、初値で売却するのか、あるいは成長を期待して長期保有するのかを検討するのが良いでしょう。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年12月2日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。