fbpx

3分の1が「単身世帯」の衝撃。高齢独り暮らしの急増が生む新ビジネスと社会的リスク=斎藤満

経済的に余裕のない1人住まいの高齢者には、公的支援を広げるしかありませんが、老後に備えて貯えてきた高齢者には、有料のサービス提供の余地があります。

1人住まいの世帯が増え、これらの人々のニーズにうまく応えれば、彼ら向けのサービスは成長市場になります。

おひとり様需要にこたえる

現在、全世帯の3分の1以上にあたる1,850万世帯が1人世帯です。

彼らは間違いなく毎日食事をします。この「おひとり様」の増加に経済社会が対応できているでしょうか。外食ブームに乗ってファミリーレストランがたくさんできましたが、今やファミリー向けよりも「孤独のグルメ」型の1人で利用できるお店が求められています。カウンター席を備えた店なら利用しやすいでしょう。

またスーパーで食材を求める場合、かつての「まとめ買いはお得」型の売り方になじまない「少量パック」の需要が高まっています。家族用の容量で買っても、結局、残して捨てることになれば、社会的損失になります。割高でも少量で買える方がうれしい客が増えていることになります。おひとり様向けに、少量パックの商品を集めたコーナーを作ることも一案です。

住居もファミリータイプばかりでなく、単身者用に1ベッドルーム、1ルームタイプの部屋、1LDKのマンションなどの需要が高まりそうです。地方ではこうした物件が少なく、むしろ1軒家の空き家が増えているので、行政か地元の不動産会社がこれらの空き家を買い取り、内装に手を加えて単身者の共同住宅にして「おひとり様」需要にこたえる手もあります。

老人ホームに替わる個人サービス

すでに高齢化が進行する中で、シルバー向け需要の拡大は指摘されていますが、現実に介護関連の需要に対するサービスの提供が追い付きません。

介護施設や介護従事者の不足が顕著で、1人暮らしの要介護者は、訪問介護に多くを依存しますが、この介護者不足でサービスを受けられずに困っている人が増えています。

介護報酬が低く抑えられているために、介護施設の経営が圧迫され、低賃金の介護従事者のなり手が少なくなっています。最終的には外国人労働者に頼らざるを得ない状況になり、これが新たな社会問題の発生につながる面があります。

介護従事者の善意に頼る状況はすでに過ぎています。彼らが仕事として成り立つ程度に報酬を引き上げ、介護資格の取得に政府が支援する形も必要です。

Next: 日本の社会とビジネスはどう変わる?1人世帯はまだまだ増えていく…

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー