■業績動向
1. 2026年3月期中間期連結業績の概要
イノベーションホールディングス<3484>の2026年3月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比13.5%増の9,406百万円、営業利益が同46.6%増の998百万円、経常利益が同54.3%増の1,077百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同51.4%増の711百万円だった。前回予想(2025年5月13日付の期初公表値、売上高9,092百万円、営業利益778百万円、経常利益769百万円、親会社株主に帰属する中間純利益501百万円)に対して売上高は314百万円、営業利益は同220百万円、経常利益は同308百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同210百万円それぞれ上回る大幅増収増益だった。
店舗転貸借事業において、成約件数(新規契約と後継契約の合計)が増加してイニシャル収入が増加し、転貸借物件数の増加に伴ってランニング収入も積み上がった。利益面では家賃保証事業と不動産売買事業も寄与した。全体の売上総利益は同42.1%増加し、売上総利益率は同4.7ポイント上昇して23.3%となった。販管費は人件費(給与手当、業績賞与の増加など)や家賃(子会社の支店開設など)を中心に同38.6%増加し、販管費比率は同2.3ポイント上昇して12.7%となった。この結果、営業利益率は2.4ポイント上昇して10.6%となった。
成約件数、転貸借物件数とも順調に増加
2. 事業別の動向
セグメント別に見ると、店舗転貸借事業(家賃保証事業を含む)は売上高が前年同期比17.5%増の8,581百万円、営業利益が同30.1%増の734百万円で、営業利益率は同0.9ポイント上昇して8.6%となった。不動産売買事業(売買物件保有期間における賃料収益を含む)は売上高が同16.1%減の825百万円、営業利益が同126.4%増の264百万円で、営業利益率は同20.2ポイント上昇して32.1%となった。なお四半期別の売上高は、店舗転貸借のイニシャル収入及び不動産売買のイニシャル収入は変動するが、店舗転貸借事業のランニング収入(転貸借物件からの賃料収入などストック型収益)は安定的に増加基調となっている。また家賃保証事業も事業展開本格化に伴って増加基調である。
店舗転貸借事業の成約件数は同68件増加して285件、期末転貸借物件数は同311件増加して2,856件となった。個人・小規模飲食事業者の旺盛な出店需要に対応して小規模・好立地の居抜き店舗物件の積極的な仕入を推進した。四半期別の推移を見ると、成約件数は2025年3月期第1四半期をボトムとして回復に転じた。営業力強化に向けた人材の育成や営業組織の構造改革の効果が顕在化し始めたほか、仕入物件の対象拡大も寄与して同第4四半期以降は140件台で推移し、従来の110~130件前後での推移から水準を切り上げる形となった。転貸借物件数は順調に積み上がっている。また、解約数は引き続き低位安定のトレンドで推移している。
不動産売買事業は期中に3物件を売却、3物件を取得して中間期末時点の保有物件数は4件となった。前年同期(3物件を売却、6物件を取得)との比較では、大型物件の反動で売上高が減少したものの、高収益物件の売却により営業利益は大幅に増加した。
実質的な自己資本比率は高水準
3. 財務の状況
財務面で見ると、2026年3月期中間期末の資産合計は前期末比579百万円増加して16,231百万円となった。主に保養所売却に伴いその他の流動資産(未収入金)が同182百万円減少した一方で、不動産売買事業の物件売却により現金及び預金が同293百万円増加、転貸借物件数の増加により差入保証金が同328百万円増加した。負債合計は同328百万円増加して11,964百万円となった。主に未払法人税等が同81百万円減少した一方で、前受収益が同123百万円増加、預り保証金が同137百万円増加した。有利子負債残高は長期借入金が同42百万円増加して145百万円となった。純資産合計は同250百万円増加して4,267百万円となった。主に利益剰余金が同241百万円増加した。この結果、自己資本比率は同0.6ポイント上昇して26.2%となった。
なお同社の店舗転貸借事業の特性上、賃借人と転貸人の双方に対して計上している差入保証金と預り保証金、及び前払費用と前受収益の割合が高くなっている。これを相殺した実質的な自己資本比率は同2.0ポイント上昇して60.0%となった。実質的な自己資本比率が高水準であるほか、キャッシュ・フローの状況にも特に懸念材料が見られないことから、財務の健全性は良好と弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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