【今週の概況】
■米国金利の先安観でドル売り強まる
今週の米ドル・円は弱含み。週初に157円75銭まで買われたが、トランプ米大統領は12月23日、米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に対し、「市場が好調な場合でも政策金利引き下げを望む」と要請したことを受けて2026年に複数回の利下げが行われる可能性が高まったことがドルの上昇を抑えた。また、日本銀行の植田総裁は25日に行われた講演で「現在の実質金利は極めて低水準であり、経済・物価の中心的見通しが実現していけば利上げで金融緩和度合いを調整していく」との方針を改めて示したこともドル売り・円買いにつながった。日本の2026年度予算で一般会計の歳出総額は122.3兆円規模となり、国債費は3兆円程度増えることから、財政悪化が引き続き警戒されているものの、来年にかけて日米金利差の縮小が予想されることから、投機的な円売りは抑制された。
26日のニューヨーク外為市場でドル・円は156円23銭まで下落後、156円73銭まで戻した。米追加利下げ観測を受けてドル売りが優勢となったが、米長期金利が下げ止まったことから、リスク回避的なドル売り・円買いは縮小。米ドル・円は156円55銭でこの週の取引を終えた。
・米ドル・円の取引レンジ:155円56銭-157円75銭
【来週の見通し】
■ドルは下げ渋りか、12月米雇用統計などが手掛かり材料に
来週・再来週の米ドル・円は下げ渋りか。日本政府の円安牽制が引き続き意識されそうだが、年末年始を挟み具体的なリスク要因は後退し、米ドルは売りづらい展開となりそうだ。日本銀行の次の利上げ時期は不透明で、追加利上げ決定後は円売り優勢の展開となった。ただ、高市政権は財政健全化に取り組むようアピールしており、円安ドル高が進行する局面では円安牽制の姿勢を強めている。米連邦準備制度理事会(FRB)議長人事も注目されやすく、金融緩和に前向きな人選をにらんだドル売りが強まる展開もあり得る。
ただ、直近の米経済指標で7-9月期米国内総生産(GDP)は予想外に強く、新規失業保険申請件数も改善。他の重要指標はさえない内容だったが、1月5日発表の12月ISM製造業景況指数や9日に発表される12月雇用統計を見極める展開でリスク回避的なドル売り・円買いはある程度抑制されるだろう。ドル・円は155円以下で顧客筋などからのドル買い注文が残されているとみられ、引き続き下げづらい展開となりそうだ。10-12月期の米企業決算を控え、米国株高が続けば円売りがやや強まる可能性は残されている。
【米・12月ISM製造業景況指数】(1月5日発表予定)
1月5日時発表の12月ISM製造業景況指数は前回の48.4と、前回48.2から小幅改善の見通し。ただ、節目の50を下回る状態が続き、強いドル買い要因にはなりにくい。
【米・12月雇用統計】(1月9日発表予定)
1月9日発表の米12月雇用統計で失業率は4.5%、非農業部門雇用者数が前月比+5.5万人程度、平均時給は前年比+3.6%の見通し。非農業部門雇用者数が市場予想を下回った場合、労働市場の縮小が意識されるため、ドル売り材料となり得る。
予想レンジ:154円00銭-159円00銭
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