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Zenken Research Memo(5):前期に発生した本社移転費用の影響が解消し利益面は大幅に改善

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■Zenken<7371>の業績動向

1. 2026年6月期中間期の業績概要
2026年6月期中間期の業績は、売上高が前年同期比0.8%減の2,717百万円、営業利益が同34.6%増の201百万円、経常利益が同40.9%増の242百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同19.5%増の196百万円となり、減収ではあるものの期初計画の売上高2,700百万円、営業利益45百万円を上回った。

売上面は、マーケティングセグメントの減収が響いた。専門メディアの制作・運用ビジネスではニッチ市場向けに強みを持つビジネスモデルを展開しているが、メディアの前下期以降の新規受注数が減少した。BtoB向けを中心に新規顧客の開拓を推し進めており、受注拡大に向けて取り組んでいる。一方で、海外人材セグメントでは海外エンジニア人材及び介護人材の紹介数が増加した。

利益面では、前期に発生した本社移転費用の影響が解消されたことで、全社費用は前年同期比152百万円減少した。マーケティングセグメントでは成長分野の立ち上げ費用が先行したものの、海外人材セグメントの増収効果や全社費用の減少により吸収し、大幅な増益となった。業績全体を見ると、マーケティングセグメントでは受注環境の回復が今後の焦点となるが、海外人材セグメントの拡大が業績の下支えとなっており、利益創出力の底上げを確認できた点はポジティブに評価されよう。

2. セグメント別の業績動向
(1) マーケティングセグメント
マーケティングセグメントの売上高は前年同期比5.7%減の1,736百万円、セグメント利益は同25.0%減の355百万円となった。減収の主な要因は前下期以降における新規受注の減少である。同セグメントは受注から売上計上まで4〜6ヶ月を要するため、前下期の受注低迷が影響した。一方で、新規顧客の開拓は継続しており、専門メディアの少ないニッチ市場を中心に46件のメディアを新規公開した。運用メディア件数は前年同期比8件増の978件となり、平均継続期間も45.2ヶ月と前年同期比1.5ヶ月向上している。BtoB向けメディアの比率は45.5%と前期末比1.7ポイント上昇しており、顧客基盤の質は着実に改善が進んでいる。

セグメント利益の減少は売上高の減少に加え、成長分野への先行投資が影響した。人的資本マーケティングや海外マーケティングなど新規領域の立ち上げに伴うコスト先行が続いていることで利益面を圧迫した。もっとも、これらは中長期の成長を見据えた投資であり、将来の収益拡大に向けた基盤整備の段階にある。

KPIの進捗を見ると、トータルコンサルティング提供企業数は2026年6月期末目標880社に対して中間期時点で876社と高い進捗率であった。既存顧客基盤は安定しており、アップセルにより1企業当たりの売上高向上を図る方針である。海外マーケティング提供企業数は期末目標25社に対して中間期時点で8社にとどまったものの、立ち上げ期にあり、案件化まで一定の時間を要している段階である。成長分野である人的資本マーケティングでは、職業ブランディングメディアの運用数を積み上げることでストック収益の純増を目指している。現職社員の声により企業の口コミや組織風土を可視化するプラットフォーム「VOiCE」の掲載企業数は着実に拡大しており、職業ブランディングメディアとのクロスセルの起点となっている。エンゲージメント向上支援サービスであるエンゲージメンターは立ち上げ初期フェーズにあるが、導入実績を積み上げながら新たな収益源として育成を進めている。

トピックスとして、AIの普及による検索体験の変化は同社にとって追い風となる可能性がある。従来のキーワード検索から、生成AIに直接質問し回答を得る形へとユーザー行動が移行している。AIは回答生成の際に、専門性が高く構造化された信頼性の高い情報を参照する傾向がある。同社が展開する専門特化型メディアは特定領域の情報を体系的に整理しており、参照元として選定されやすい。実際にAI経由で公式サイトへ流入する動きも見られる。今後は「AIに質問→AIが回答→公式サイトへ流入」という導線の拡大が想定され、978件まで積み上げたメディア資産は中長期的な競争力の源泉となり得ると見ている。

(2) 海外人材セグメント
海外人材セグメントの売上高は前年同期比12.5%増の747百万円、セグメント利益は同23.2%増の61百万円となった。うち人材事業の売上高は海外エンジニア及び介護人材の紹介人数の増加により同29.8%増の427百万円と拡大した。日本国内における労働力は毎年ひっ迫してきており、需要は増えていくものと考えられる。エンジニア領域では、採用難を背景に機電系企業からのニーズが底堅く推移した。採用イベントの開催回数や参加企業数が伸長し、内定受領者数は同9人増の98人となった。内定受領者に対しては入社までの期間に日本語教育やビジネスマナー研修を実施しており、受け入れ企業の満足度向上と早期戦力化を図っている。介護人材分野では、慢性的な人手不足を背景に地方を含む医療・介護施設からの需要が拡大し、入社数は同15人増の29人と増加した。登録支援機関としての体制整備や生活支援体制の強化により、受け入れ後の定着率向上にも取り組んでいる。教育事業の売上高は同4.5%減の319百万円となった。一部で受注の伸び悩みが見られたものの、原価管理の徹底や販管費の抑制により収益性の改善を進めている。

セグメント全体では人材紹介の拡大が利益成長を牽引し、営業体制の強化と受け入れ企業の裾野拡大が増収増益に寄与した。今後も国内企業の人材不足を背景に、紹介人数の積み上げと教育機能の高度化により持続的な成長が期待される。

(3) 不動産セグメント
不動産セグメントの売上高は前年同期比横ばいの233百万円、セグメント利益は同3.8%増の169百万円となり、所有している「全研プラザ」「Zenken Plaza II」の賃貸は高稼働率を維持している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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