3.今週のホットイベント解説(欧州中央銀行・定例理事会)
21日にECB理事会が予定されており、現在の状況や今後の見通し、追加緩和の必要性が問われることになるでしょう。
ここ最近のECBは2%のインフレ目標が達成の軌道に入りつつあるとし、暗に追加緩和の必要性を否定していましたが、Brexitによって状況は一変しています。この不透明感がEUの景況感を悪化させることはほぼ間違いありませんからね。
Brexit後の動向としては、理事会メンバーの何人かは追加緩和の必要性に言及していますが、相変わらずECB理事でもあるバイトマン独連銀総裁が「緩和策の実施は必要ない」としており、強硬な反対姿勢を明らかにしています。
したがって、各メンバーの見解を含めて、ECB全体として見通しに変化があったかどうかを中心に見ていきたいところです。
少し振り返ると、ECBによる3月の大規模緩和決定以降、世界的に緩和策の打ち止め観測というのが台頭しています。エコノミストからも、これ以上の中央銀行がこれ以上の緩和的なスタンスを維持したとしても、景気を刺激する効果はないといった声が漏れ聞こえています。
しかしながら、相変わらず市場は緩和策を求め、緩和的な政策が続くと考えているからこそ、株や債券も買い進められています。ブログやメルマガでBrexitになったとしても、株価にとっては悪くない環境と書いたのもこのことによります。
なぜなら、現在の市場というのはネガティブな材料があればこそ、緩和を前提条件として織り込み、下がれば買いに動くという状態になっているからですね。
ドラギ総裁も含め、ECBとしては、影響が出てくるとされる年後半まで様子を見たいというのが本音でしょうが、市場がそれを許さない可能性があり、もし緩和策に関してリップサービスも無いようであれば、ユーロ買いのみならず、株価も崩れて市場全体がネガティブなムードに包まれることも考えられますので、このイベントは警戒して見ておくようにしましょう。