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モンテパスキ銀や日本年金を翻弄する「時代の変化」の笑えない正体=矢口新

「時代の変化」に振り回される日本の年金運用

「時代の変化」は年金や保険などの長期資金の運用にも見られている。

GPIFは7月29日、通常より約1カ月遅れで、2015年度の運用結果を公表した。国内債券は年間約2兆円の利益、国内株式は約3.5兆円の損失、外国債券は約0.7兆円の損失、外国株式は約3.3兆円の損失で、全体で5兆3098億円の損失だった。

これで見ると、株価や外貨での損失を国内債が穴埋めしたことが分かる。国内債偏重運用から、株式や外貨に分散したことが裏目に出たように見える。しかし、国内債はマイナス利回りなので、GPIFが実質的に利息を国に払っている状態だ。

それでも2兆円の利益が出たのは、それ以上に値上がりしたからだ。簡単に言えば、100で償還される国債を101という価格で保有していたが、102に値上がりしたので、利益が出たのだ。とはいえ、いずれ100で償還される事実には変わりがない。その時が来れば、これまでの利益は絵に描いた餅に過ぎず、大きな実現損が発生する。

年金や保険などの長期資金の運用における「時代の変化」は、国債運用で利回りを得るという従来からの安定運用が否定され、高価格な国債を、さらなる高価格で売り抜けるという「投機的売買」を促されているということだ。

つまり、年金や保険会社も、短期トレードの専門家を雇うか、リスクを顧客に転嫁するか、どちらかの選択肢を迫られていることになる。

先月、三菱東京UFJ銀行が国債のプライマリー・ディーラーシップを返上したが、私はプロの判断だったと評価している。

現在の世界の金融当局は「金融の素人」、あるいは「規制のための規制の専門家」の集まりだ。そんなものに振り回されていれば何百年も続いて来たビジネスでも破綻する。

当局と距離を置くことが、ビジネスや資産運用での、生き残りの最善策となってきたようだ。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年8月2日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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