fbpx

運用パフォーマンスの上がらないGPIFが「国民向けパフォーマンス」を開始=近藤駿介

GPIFは運用会社に運用を委託しており、直接企業に投資する立場にない。そのGPIFがなぜ投資先企業との「直接対話」をする必要があるのだろうか。コストの無駄遣いでしかない。(『近藤駿介~金融市場を通して見える世界』近藤駿介)

プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。

迷走するGPIF、「投資先との定期対話」というナンセンス

「親方日の丸」を地で行く無駄遣い体質

全くナンセンスなお話。

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、投資先企業との定期対話を始める。日産自動車やエーザイ、オムロンが幹事社となり、9月に初会議を開く。毎年2回程度開き、企業活動の理解を深めて運用成績の向上につなげる。

出典:投資先と定期対話 公的年金、運用に生かす – 日本経済新聞(2016年8月15日)

運用に生かす」というが、GPIFは運用会社に運用を委託しており、直接企業に投資する立場にない。そうした立場のGPIFがなぜ投資先企業との直接対話をする必要があるのだろうか。

【関連】「年金」を巡る漠然とした不安。日本で年をとることの何が心配か=山田健彦

この対話を「運用に生かす」として、GPIFが委託先に投資対象の指示をしたら、投資一任契約を犯す行為にもなりかねない。

余裕銘柄の開示や、個別企業の投資判断権を持たないGPIFによる投資先との定期対話などはコストの無駄遣いでしかない。

2014年10月に「GPIF改革」と称した無意味な「基本ポートフォリオ変更」によって、2012年度に222億円、運用資産に対する手数料率0.02%であったGPIFの管理運用手数料は、2015年度には405億円、手数料率0.03%に上昇してきている。

「基本ポートフォリオ変更」によって海外資産への投資割合を増やした(海外株式12%⇒25%、海外債券11%⇒15%)ことで、117億円であった海外資産の運用手数料が、261億円へと倍以上に膨らんだからだ。

海外資産運用に関する運用手数料が大幅に上昇する中で、個別企業の投資判断権限を持たないGPIFが国内株式の運用においても無用なコストを掛けるという判断は、GPIFの運営が今でも「親方日の丸」という意識の下で行われていることを物語るものである。

保有銘柄の開示といい、本質的な問題とは関係のない国民向けパフォーマンス、アリバイ工作ばかりに精を出す姿勢こそ、「GPIF改革」によって改めるべき点である。

【関連】なぜ年金は溶けたのか?「GPIF運用損5.3兆円」の危なすぎる内訳=斎藤満

【関連】モンテパスキ銀や日本年金を翻弄する「時代の変化」の笑えない正体=矢口新

【関連】GPIF(公的年金)が東京株式市場の“敵”にまわる日=近藤駿介

近藤駿介~金融市場を通して見える世界』(2016年8月15日号)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

近藤駿介~金融市場を通して見える世界

[無料 ほぼ 平日刊]
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動してきた近藤駿介の、教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝えるマガジン。

文中に紹介されている価格については、掲載日時点のものとなります。実際の価格は購入先ページでご確認ください。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらTwitterでMONEY VOICEをフォロー

ついでに読みたい