fbpx

日経平均2万4,000円へ。懸念されていた米中協議が第1弾合意の見方で相場はリスクオン=久保田博幸

米中の今回の協議について、15日の第4弾発動中止とともに計3,600億ドル分の発動済み追加関税のうち最大50%を削減することを中国に提案したとのこと。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)

※『牛さん熊さんの本日の債券』は、毎営業日の朝と夕方に発行いたします。また、昼にコラムの配信も行ないます。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

リスクオンのムード強まるが、足元の景況感の悪化にも注意が必要

15日に発動予定だった中国関税の引き上げは見送りに

トランプ米大統領は12日、中国との第1段階の貿易合意を承認した。15日に中国からの輸入品約1,600億ドル(約17兆5,100億円)相当に対して発動予定だった関税引き上げは見送られる(ブルームバーグ)。

出典:トランプ大統領が第1段階の米中合意承認、関税回避へ-Bloomberg(2019年12月13日公開)

米中の今回の協議については、土壇場でひっくり返る、いわゆるちゃぶ台返しの可能性も捨て切れていなかったが、どうやら合意に至ったようである。また、米国側は、15日の第4弾発動中止とともに、計3,600億ドル分の発動済み追加関税のうち最大50%を削減することを中国に提案したそうである。

12日の米国市場では、米中協議の第1段階は合意かとの見方から、ダウ平均の上げ幅は一時300ドルを超え、過去最高値を上回る場面もあった。また、米債は売られ10年債利回りは一時1.92%まで上昇した。ドル円も109円台の半ばまで上昇するなど、いわゆるリスクオンの相場展開となった。

さらに13日の日本時間の朝方には、英国の総選挙の出口調査の結果が伝わり、BBCによるとジョンソン首相率いる与党・保守党が過半数を奪還する見通しとなった。実際に保守党が過半数を得れば、欧州連合(EU)からの離脱案や関連法案を単独で可決できる。これによって2020年1月末のEU離脱への道筋がつく。

これも加わって、13日の東京株式市場は朝方に日経平均は500円を超す上昇となり、債券先物3月限は一時152円を割り込んだ。

楽観的なムードが高まりつつあるものの、米中の関係についてはひとまずこれ以上悪化する可能性が後退しただけであり、英国についてもスムーズにEU離脱が可能となるのは不透明でもある。

さらに注意すべきは、13日に発表された日銀短観がある。日銀が発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)はゼロとなり、9月の前回調査から5ポイント悪化した。これにより4四半期連続の悪化となる。

日経平均と大企業製造業DIはトレンドが重なるケースが多い。しかし、日経平均をみると8月あたりから再び上昇トレンドを形成し、戻りを試すような展開となっている。これは米国株式市場の動向の影響、さらには円高圧力の後退などもあろうが、実体経済とはやや乖離して動いているようにもみえる。

米中の通商交渉と英国の総選挙という2つのイベントは、結果として金融市場にとっては好材料となった。しかし、これはあくまで不安材料が払拭されただけであり、このあとはあらためて足元の景気の後退にも注意が必要となろう。


※『牛さん熊さんの本日の債券』は、毎営業日の朝と夕方に発行いたします。また、昼にコラムの配信も行ないます。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

【関連】不動産は株価から2年遅れて下落する…日本の土地がピークアウトするのは2022年頃=吉田繁治

【関連】海外で日本経済見直し論が復活、2020年は「アベノミクス第3弾」の開幕となるか=藤井まり子

【関連】アベノミクスを牽引してきた成長株の伸びは一服?これからは割安株が買いの背景とは=山崎和邦

image by : President Trump / Shutterstock.com

牛さん熊さんの本日の債券』2019年12月13日号より
※記事タイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

牛さん熊さんの本日の債券

[月額1,100円(税込) 毎週月・火・水・木・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
金融サイトの草分け的な存在となっている「債券ディーリングルーム」の人気コンテンツ、「牛さん熊さんの本日の債券」がメルマガとなりました。毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを会話形式にてお伝えします。さらっと読めて、しっかりわかるとの評判をいただいている「牛さん熊さんの本日の債券」をこの機会にぜひ御購読いただければと思います。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー