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ビットコインは「ノアの方舟」なのか? 出口なき緩和マネー大洪水を生き残る術

日本における仮想通貨は東京オリンピックを契機に急拡大する

日本における仮想通貨の普及は、米欧と比較して大分遅れを取っているとはいえ、ビットコインの取引量は確実に増えています。

日本では、ビットコインによる決済を受け付けている店舗の数が少ないため、むしろ、投資の対象として仮想通貨を位置づけている人が多いのが特徴です。

とはいえ、ビックカメラなどの大型量販店チェーンなどが参入してくると、その様相は一変する可能性があります。

これはもちろん、2020年に開催予定の東京オリンピックに、世界中から訪れる観光客を当て込んでの対応で、これをはずみとして、一気に仮想通貨の利用拡大が促されると見込んでのことです。

東京オリンピックに訪れた観光客が、日本ではビットコインが使えないとなれば、「仮想通貨後進国」のレッテルを貼られないとも限らないので、政府としても今後、果敢に仮想通貨の普及拡大に向けたPRに力を入れるでしょう。

投資家たちは、むしろ、東京オリンピックの前後から始まると予想されている地価の下落株式市場の暴落をきっかけに、ビットコインの急騰を当て込んでいるかもしれません。

民間のメガバンクでは、今年の秋から、三菱東京UFJ銀行の「MUFGコイン」が発行されます。その他のメガバンクも、ブロックチェーンを使った独自の仮想通貨の発行を計画しています。

日本政府は、この発表と相前後して「ビットコインを貨幣として認定」し、仮想通貨の普及を後押しする姿勢を表明しました。

議論沸騰の末、強行採決によって決着を見た「カジノ法案(IR推進法案)」ですが、おそらく政府は、統合型リゾート全体で仮想通貨による決済を可能にすることによって、モデルケースをつくりたいのでしょう。

仮想通貨「3つの問題点」を、現在の不換紙幣と比較すると?

さて、仮想通貨の持つ最大の問題は、3つほどあります。

1つは、絶対価値の裏付けがないこと。

2つ目は、法定通貨ではないため、事故が起こったときに国が救済しないこと。

3つ目は、中央銀行が仮想通貨を発行すると、必然的に、国民監視社会が誕生すること。

「絶対価値の裏付けがないこと」に関しては、何も仮想通貨だけの問題ではなく、中央銀行制度を採用している国の通貨のすべてに「絶対的価値」の裏付けはないのです。

実質的に、世界の基軸通貨の座にかろうじてとどまっている米ドルにしても、1971年8月のニクソン・ショックを契機とするブレトンウッズ体制(IMF体制)の崩壊以後は、主に米国政府の信用がドルの裏付けとされたのです。

ブレトンウッズ体制のことを、別の言い方で「金・ドル本位制」と言うように、それまではドルと金(ゴールド)の交換比率を一定に定めると同時に、他国通貨に対しては固定相場制を取っていました。したがって、世界中のほとんどの金(ゴールド)が米国に集中していたのです。

しかし、米大統領ニクソンによって、ドルと金の交換停止が宣言されて以来、ドルは本位貨幣(正貨たる金貨や銀貨)との兌換が保証されない不換紙幣となって、世界は変動相場制に移行したのです。

現在のドルや円、その他の国の通貨は、その国が法律で通貨と定めることによって流通が保証された「法定通貨」ですが、価値が保証されているということではありません。ハイパー・インフレになれば、紙幣は紙切れ同然となり、国民の資産が際限なく政府に没収されるのです。

通貨は、中央銀行が独占的に発行権を持っています。

しかし、中央銀行が通貨を発行する際には、政府が発行した国債(借用証書)を買い入れることによって、その支払いに充てるための新札を印刷して市中に放出するので、政府に国債の発行を野放図に許してしまえば、通貨の購買力が低下するばかりです。

これは、通貨から金本位制の足枷が解かれたことによって起こったことです。

これも「インフレ税」の一種なのですが、目に見えないのため、私たちは自分の労働の対価を政府に没収されていることに気がつかないのです。

それを防ぐために、銀行は金利を設定して、預金者に還元することによって通貨の減価分を穴埋めしてきましたが、今後、世界的に少子高齢化が進展し、GDPの伸び悩みが明らかになっている上に、国債の過剰な発行がもたらした政府の財務状態の悪化によって金融システム自体がぐらついていきます。

ひいては、国債を発行するごとに政府の信用が毀損されていくので、どこかの時点で量的金融緩和ができなくなって、最終的には、不換紙幣が無価値同然になってしまうのです。

つまり、早晩、不換紙幣の新規発行ができなくなるのです。

Next: 日本人が理解しておくべき三菱東京UFJ銀行「MUFGコイン」の正体

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