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ビットコインは「ノアの方舟」なのか? 出口なき緩和マネー大洪水を生き残る術

日本人が理解しておくべき三菱東京UFJ銀行「MUFGコイン」の正体

まず、仮想通貨の代表ビットコインは、その国の中央銀行システムの外側で流通している通貨なので法定通貨ではありません。

ビットコインの信用の中心的裏付けになっているのは、ブロックチェーン(分散台帳)ですから、ビットコインが普及しなければ流動性が失われて、ビットコインのお財布(ウォレット)の中にある単なる数字に過ぎないということになります。

反対に、ビットコインがどんどん普及していけば、中央銀行が発行する「法貨」が駆逐され、最終的には中央銀行制度が崩壊します。それだけでなく、民間の銀行システムも無用の長物となる可能性があります。

仮に、三菱東京UFJ銀行が発行する「MUFGコイン」が世界中に普及したとき、実質的に、三菱東京UFJ銀行が日本の中央銀行に取って変わることになります。この可能性については、経済学者も指摘していることです。
(※メルマガ第162号パート1、パート2「2017年秋の暗号通貨の発行によって日本のメガバンクが日銀にとって代わる」にて詳述)

「MUFGコイン」は当初、1MUFGコイン=1円の交換レートでスタートすることになっています。

MUFGコインの発行限度額が決められていない場合、円との固定相場制を堅持すれば、日本が財政危機に陥ったとき、仮想通貨の価値もまた減価されてしまいます。これでは、インフレのヘッジとしては使えません。仮想通貨でも、発行限度額を制限しなければインフレになるのです。

日本の財政破綻を恐怖する人々が、MUFGコインをビットコインと同じように錯覚して円をMUFGコインに両替すると、円がだぶついてインフレを引き起こします。それは、発行主体である三菱東京UFJ銀行のバランスシートを破壊します。

それを防ぐために、政府が慌ててビットコインの通貨化を認めたように、MUFGコインもまた「通貨化」されるでしょう。日本の他のメガバンクが、それぞれ独自に仮想通貨を発行しても、交換レートを1円に固定したままでは、メガバンクにとってのインフレヘッジにはならないのです。

伝えられるところでは、財務省は、すでにデフォルトのシミュレーションを行っていると言われています。とはいえ、財務省は、そうした破滅的な事態を是が非でも回避しようとするので、いよいよとなれば、日銀に強烈な圧力をかけてヘリコプター・マネーの導入に踏み切らせるでしょう。それは、十中八九、ハイパー・インフレを招きます。

どちらにしても、民間が発行する仮想通貨と円との交換レートを固定するかぎり、最悪のシナリオを回避することはできないのです。

したがって、当初は「1MUFGコイン=1円」に固定するものの、普及へのインセンティブを働かせる目的で、次第に、交換レートの固定相場制は廃止されるでしょう。

たとえば、「1MUFGコイン=1.2円」というように、MUFGコインを使えば使うほど得をする交換比率を採用するのです。この場合、円でモノ・サービスを購入するより、MUFGコインで支払いを済ませるほうが、2割増しの購買力を持つことになります。

おそらく、この予想は現実になるはずです。そうしなければ、メガバンクの仮想通貨は普及しないからです。

とはいうものの、仮想通貨が法定通貨にならなければ、消費税も所得税も納めることができないので、いったんは円に両替しなければなりません。

当面の間、一定程度、仮想通貨が普及するまで、民間のメガバンク連合による統一仮想通貨と、法定通貨である「円」とが共存する社会となるでしょう。これが、政府のいう通貨のモラトリアム、「通貨化」の状態です。

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