裏にはいつも中国あり
以前、以下の記事を公開しました。
半導体製造装置の東京エレクトロンの業績が好調ですが、その実態を調べるほど、裏では中国の存在が際立ちます。
「半導体製造装置」の受注が好調ということは、もちろん「半導体」の生産が好調なことを意味しています。そして、半導体の販売先を調べると、世界販売の3分の1から半分は中国だということがわかります。
半導体の最終的な利用先はスマートフォンが中心だと考えられますが、世界的にはその需要も頭打ちが懸念されています。特に、先進国での普及率は高く、これから急速に伸びるわけではなさそうです。伸びるとしたら新興国です。
いま伸びているのは中国国内の需要が中心です。スマートフォンの出荷台数でも、すでに世界の3分の1は中国です。中国の消費は世界のトレンドからはやや遅れながらも、圧倒的な人口規模によりこの波を作り上げているのでしょう。
しかし、いくら人口が多いとは言え、需要はどこかで必ず頭打ちとなります。その要因は製品が消費者に行き渡るか、景気が悪化し生産が鈍った場合です。
中国経済は2015年に一度落ち込みかけましたが、政府のてこ入れにより盛り返しています。しかし、それはインフラや不動産投資によるもので、いつまでも続くものではありません。無理をしている部分も少なからずあるでしょう。
今年の秋には5年に一度の中国共産党大会が開催されます。政府によるてこ入れが積極的に行われるのはそれまでという観測もあり、その後の中国経済には特に注意を払う必要があります。
中国はすでに世界第2位の経済大国であり、その動きはスマートフォン・半導体だけではなくあらゆる経済事象に影響を与えます。それを恐れるのではなく、よく知っておくことで不測の事態が起きても冷静に対処できるでしょう。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2017年5月19日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。