現在の米国株は歴史的な割高圏
このような状況で、無理に米国株の高値を買う理由はないでしょう。まして、米国株は歴史的な割高圏にあります。
資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞した、米国のロバート・シラー教授の考えに基づく米国株の評価である「CAPEレシオ」でみても、割高感は鮮明です。
CAPEレシオは「S&P 500 Cyclically Adjusted Price-Earnings Ratio」が正式名称です。
CAPEレシオは、株価を1年間の利益で割って算出する株価収益率(PER)とは異なり、過去10年という長期間の利益・配当、さらに物価変動も考慮して算出します。つまり、景気循環の影響を除き、企業の実力を株価と比較する指標です。
一般的には、CAPEレシオが25倍前後まで上昇すると、株価は割高と判断されます。CAPEレシオは、直近では8月に27.07倍にまで上昇していました。
25倍を超えると割高と判断するのであれば、今の米国株の水準はすでに割高圏にあるとの判断になります。
過去にも、2000年のITバブル期の1999年12月には44倍という、途方もない数値に達しました。
1966年には24倍、1929年には32倍などをつけましたが、いずれも株価はその後に暴落しています。
特に1929年には「世界恐慌」が起きました。米国株は大きく下落し、株価水準の回復に8年間もの時間を要したことはよく知られています。
現在の27倍という数値自体は、過去の水準と比べても、すでに十分に高いわけです。
これから第3四半期(7月~9月)の企業決算の発表がありますが、株価を押し上げるのに十分な業績でなければ、結果的に売り込まれてしまう可能性はあると思います。
米国株は4割下げも。注意すべきアノマリー
そして、忘れてはならないのが、今年は年初に大きく下落している点です。株価が急落した1937年や2008年よりも下落率が大きかったのです。このアノマリーでいくと、米国株は4割近くの下落になると試算されます。
さらに、米国株は大統領選挙の前年に下落したことがありませんでした。しかし、昨年は初めて下落しました。
このように、不吉なデータが山のようにあります。しかし、それでも市場は楽観的です。このままあと3カ月を安閑と過ごすことができるとはとても思えません。
それではいったい何が起きるのか、その結論は早ければ今週中に出るのではないかと考えています。
繰り返しますが、基本は売り目線です。いまは下げても驚いてはいけない市場環境にあることを理解しておきたいところです。