クロス円は下落へ、ポンドドルの下落リスクに注意
ドル円は買戻しが先行して、104円台を回復する場面もありました。しかし、米雇用統計を受けて、目先の天井を付けたと考えています。
これまでは、100円割れを回避して上昇したことで、円安期待が一気に高まりました。しかし、上昇は本来の姿とは違いますので、結局は下げに転じました。
103.60円前後の100日線を維持できなかったことで、目先は下げに転じると考えてよいでしょう。
米国の金利も低下しています。ドルは買われにくくなり、結果的にドルが対主要通貨で下落する動きが短期的には強まるかもしれません。
ちなみに、7日時点での市場の利上げ確率は65%で、前日の63%から小幅上昇しました。まだ利上げのムードは高まっていないとも言えそうです。
ドル円は102.90円を割り込むと、101.80円あたりまで下げそうです。今週はこの水準を維持できるかとみていくことになりそうです。
戻り売りというよりも、売り下がりのイメージです。
また、100円水準は心理的節目として意識されざるを得ないでしょう。しかし、これを明確な形で割り込むのは、来年になるかもしれません。
クロス円も基本は下目線です。ユーロ円、ポンド円、豪ドル円は下向き圧力が徐々に強まりそうです。
しかし、対ドルではユーロは堅調ですが、ポンドと豪ドル円は軟調に推移しそうです。ただし、今週はこれまでの売りに対する買い戻しも入りそうです。
このあたりの強弱感の違いには注意が必要になりそうです。
多くの資産は一度はダメージを受けざるを得ない
いずれにしても、重要なのは為替相場そのものよりも、今は株式市場や金利市場の動向といえます。資産価格の動向は、最終的にはドル金利の動きで決まりますので、この点を外さないようにしたいところです。
金利はこれ以上大きく下がることはないとみています。
そうであれば、多くの資産は一度はダメージを受けざるを得ないでしょう。これが全体感の基本にあります。その場合、ドル高がリスクオフの動きを誘発すると考えています。この考えは全く変わりません。
そういえば、7日の早朝にはポンドドルの「フラッシュ・クラッシュ」が起きました。
誤発注が原因とみられていますが、真相はわかりません。いわゆる「ファット・フィンガー」だとすれば、その発注をした人はかわいそうな人ですね。
いつこのようなことが起きるかはわかりません。常に注意が必要であることは言うまでもありませんが、対処のしようがないことも事実です。
短期トレードではこのような巻き込まれる可能性があると思いますので、より注意深くトレードするようにすべきでしょう。
ちなみに、市場では、ポンドドルは1.10ドルまで下落するとの見方が出始めているようです。もしかすると、夢のパリティ(1ポンド=1ドル)に近づくのかもしれません。
そうなる前に、1992年のようにジョージ・ソロス氏が仕掛けてくるかもしれませんね。そうなれば、歴史の転換になるほどの下落となるかもしれません。
そのとき、英国はいまのようにポンド安を喜んでいられるでしょうか。ポンド安で外国人が多数押しかけ、それで英国は潤っているとの声もあります。
不動産屋や株式なども安く購入できますので、いまは良いでしょう。
しかし、これらの価格が下げ始めた時、見返りがきわめて小さくなるリスクもあります。むしろ、悲惨なことが起きるのではないかと危惧しています。ポンド安が示す将来リスクには要注意と考えています。
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