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結論は売り。今がレンジ相場の最終局面、これで上昇なら驚くほかない=江守哲

米国株はモメンタムを失っています。上昇もしなければ下落もしない。完全に狭いレンジ相場にスタックした状態です。しかしこのような相場展開が長期化することはありません。(江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて

本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2016年10月10日号外の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

割高明白な米国株と日本株。今が最終局面、最後のチャンス

膠着状態が続く米国市場

米国株は先週も膠着状態が続きました。方向感が出るには、金利が上昇し、ドルが上昇する必要がありました。そのきっかけになると期待していたのが、9月の米雇用統計でした。

しかし、残念ながら、内容は利上げを後押しするものではありませんでした。とはいえ、利上げの可能性が完全になくなったわけでもありません。非常に悩ましい内容だったといえます。

繰り返すように、FOMCでの金融政策の結果をあらかじめ予想して、投資判断することはありません。それは、ほとんど意味がないからです。とはいえ、全く無視するわけにはいきません。

FOMCが開催されるまでに起きている事象と政策判断の経緯をフォローすることで見えることもあります。そのためにフォローしておいた方がよいだろうという程度です。この点はかなり重要と考えています。

【関連】「標的」にされたドイツ銀行。いったい誰が、何のために?=斎藤満

どう見る9月米雇用統計結果

さて、その雇用統計ですが、非農業部門雇用者数が前月比15万6000人と、前月の16万7000人(※編注:改定値)から減少。市場予測の18万人も下回りました。3カ月平均でも19万2000人で、目安の20万人を下回りました

こうなると、単純に12月利上げを予想するのは難しいということになります。

これまでの利上げ機運もあり、雇用統計が堅調な内容であれば、金利上昇・ドル高が誘発され、米国株安から円高・日本株安を想定することができました。しかし、今回の雇用統計の内容では、この見方も難しくなりました。

とはいえ、利上げ見送りとなれば、金利低下・ドル安を誘発し、結果的に円高・日本株安をもたらすことにもなります。結果的に、日本株には厳しい状況は変わらないといえます。

レンジ相場の最終局面

それはともかく、米国株はモメンタムを失っています。上昇もしなければ、下落もしない。完全に狭いレンジ相場にスタックした状態です。しかし、このような相場展開が長期化することはありません。いずれ方向感が出てきます。

それが、今週であると考えています。というよりも、最終局面であり、最後のチャンスでもあると考えています。

その理由はいくつかありますが、技術的なことを言えば、ひとつはヘッジファンドの解約が挙げられるでしょう。

解約実施期日の11月末からみて、解約期限である45日前の10月14日が解約するかの判断をする基準日になるため、この日にポジションの調整が入ることが少なくありません。ですので、結果的に14日までの市場で大きく下げる可能性がないとはいえません。

さらに、米大統領選の第2回目のテレビ討論会が9日に実施されます。この内容次第では、また市場が揺らぐ可能性があります。

現時点では、共和党候補のトランプ氏の失言による自滅で民主党候補のクリントン氏がますます優位に立っています。このままでいくと、クリントン氏の勝利の確率は相当高くなるでしょう。さすがに、これまで頑張ってきたトランプ氏も白旗を出さざるを得なくなりそうです。

しかし、英国のEU離脱を誰も予想できなかったように、今回の米大統領選も最後の最後まで分からないとみています。

トランプ氏の繰り返される失言問題は、確かにクリントン氏を一気に優位にする可能性はあります。しかし、今回はトランプ氏も後を顧みない激しい言葉でクリントン氏をやり込めるでしょう。

事実、そのクリントン氏にも黒い疑惑がたくさんあります。いずれの候補にも問題があることは明白です。したがって、今回の討論会はまさに罵詈雑言の欧州、テレビで生放送できるのか怪しいほどの論戦?になるのではないかと考えています。

この討論会を見て、国民はおそらくあきれ返るでしょう。しかし、すでにこの二人の候補者しかいません。この二人から選ぶしかないのです。この時点で、米国民はすでに大変な決断をしてしまっているといえます。

最後の国民の判断がどのようになるのか、今回の大統領選は本当に楽しみです。最後まで全く気が抜けない選挙戦になりそうです。

まだ安心できないドイツ銀行問題

また、ドイツ銀行問題も全く沈静化していません。この問題の本質は、リーマンショックの再燃とか、そのような筋のものではありません

繰り返しますが、リーマンショックと比較する専門家やマスコミが多いことに、本当に辟易としています。

ドイツ銀行の問題の本質は、やはり株価の下落にあると思います。株価が安くなると、何かあったときに資本調達ができなくなります。これはきわめて憂慮すべきことです。

保有するデリバティブポジションは額面は大きいのですが、実際にネッティングしたポジションはそれほど多くないかもしれません。バランスシート上は問題があるとは言えない水準との評価もあるようです。

また、米司法省による和解金の140億ドルについても、減額交渉が進むとの見方も少なくありません。

こう考えると、問題なさそうにも思えるのですが、今のドイツ銀行は規模の縮小とコスト削減で、収益の額が拡大しない構図になっているようです。

したがって、企業としての成長への期待感がなく、縮小均衡となり、当然株価も上昇しづらいということになります。

繰り返しますが、株価が安くなれば、増資はできません。問題が発生した場合には、助けてくれるひとが出てこないことになり、結果的に破たんするということになります。

このような危険な匂いがする銀行を、ヘッジファンドがブローカーとして利用するはずがありません。

結果的に、ヘッジファンドを丸抱えするプライム・ブローカービジネスが縮小し、銀行全体の信用力の低下につながりやすくなります。これはやはり危険な兆候といえます。

Next: 現在の米国株は歴史的な割高圏、ここから4割近く下げも

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