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優位に立つバブル反対派。やはり「夏の大調整」は避けられないのか?=藤井まり子

なぜ先進各国は一斉に「引き締め」を叫び出したのか?

繰り返しになりますが、6月27日に先進各国の中銀たちが一斉に「引き締めへの
大合唱」を開始
しました。まるで示し合わせたような「引き締めへの大合唱」の「始まり」です。BISの年次総会で示し合わせたのです。

イエレンFRB議長・フィッシャーFRB副議長・サンフランシスコ連銀総裁らは、一斉に「アメリカ株が高い」ことに警鐘を鳴らしました。同じ日に、ドラギECB総裁も高らかに「デフレとの戦いの勝利」を宣言、量的金融緩和の段階的縮小(=Tapering)を示唆しました。さらに、カーニー・イングランド銀行総裁もカナダ中銀総裁も、「緩和からの展開」「引き締めへの転換」メッセージを発しました。

先進各国の中銀総裁たち(ただし、黒田日銀総裁は除く)が一斉に「引き締めへの転換」の大合唱を開始したのです。

黒幕は、あの「量的金融緩和策が大嫌い」「リフレ政策が大嫌い」な「BIS」です。

実は、6月下旬に、BISの年次総会が開かれていました。このBISの年次総会で、各国中銀たちが勢ぞろいしていたのです。この6月下旬のBIS年次総会で、先進各国の中銀たちは問題意識を共有します。「示し合わせた」のです。

25日発表のBIS年次報告書では、「インフレなき景気回復を好機として、量的緩和策と歴史的低金利の“大いなる巻き戻し”を加速するべきである」との見解が示されています。

すなわち、この6月のBIS年次総会では、「主要国経済は緩やかな景気回復のもと、『景気回復してみたけれども、思ったよりは物価上昇率が低かった』という共通の課題に直面している。

しかしながら、このインフレ率が当初の想定よりも低いと言うことは、それほど深刻な問題ではない。主要国経済は『インフレの心配のない、穏やかな景気回復軌道』にあると言える。

この『インフレなき穏やかな回帰回復』局面を好機と判断して、それをうまく利用して、主要国は『金融政策の正常化』を進めるべき」とのコンセンサスが、通貨マフィアたち(=先進各国の中銀総裁たち)の間で形成されたのです。

これは、とてもとても重要なことです。

「バブル反対派」のBISが勢いを増す

かつて、リーマンショック後の「デフレ危機」時には、IMFとBISとは、激しく意見対立していました。

IMFは、「量的金融緩和策とバブル形成にはとても鷹揚(おうよう)」です。「危機時は量的金融緩和でデフレ対応が可能」とする立場です。すなわち、ラガルドIMFは「バブル容認派」「バブルは生成してもOK」の立場だったのです。

一方、BISは、「量的金融緩和策なんてものはもってのほか」とする立場でした。「バブル否認派」「バブルは未然に防ぐことが大切」の立場です。

ここ10年間は、「IMFのバブル容認派」と「BISのバブル反対派」との間で、激しく意見対立していたのです。

世界が危機に直面する間は、中銀総裁たちが織り成す通貨マフィアたちの世界では、「IMFのバブル容認派」の意見が「BISのバブル否認派」の意見より断然優位に立っていました。

ところが、世界経済がなんとか危機を脱したように見受けられる2017年夏、中銀総裁たちの通貨マフィアの世界では、「BISのバブル否認派」が「IMFのバブル容認派」よりも断然優位に立つようになったのです。

イエレンFRBは今後は粛々と粛々と「金利正常化」の道を歩むことでしょう。ECBも、BOEも、そのほかの中銀たちも然りです。
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2016年の一連の大珍事「イギリスのEU離脱」と「トランプ大統領の誕生」

「2%インフレ目標」の達成は急がない

中銀たちの方針の大転換をマーケットは織り込んでいるか?


※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2017年7月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。本記事で割愛した内容や当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

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藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』(2017年7月11日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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