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【大前研一の世界分析】難航するBrexit/アルゼンチン100年債の異常人気/インドネシア首都移転の効果

【インドネシア】首都機能移転の効果

インドネシアのジャワ島を横断する鉄道建設計画について、ジョコ政権内に、国際入札にかける案が浮上していることがわかりました。これまでは日本と建設するとしていましたが、コストを重視し、中国など他国からも計画を募る考えが浮上してきたものです。ジョコ政権が日本との約束を再び反故にすれば、関係悪化は避けられない見通しです。

私は何度も言ってきましたが、ジョコ政権を信用してはいけないのです。この人は最も信用できない国家元首の1人だと思います。ちょろちょろと様子見をしては、太くしっかりしたところがない人物で、またここでもかという印象です。

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実は今回の計画は、在来線を強化していくということであり、新しい新幹線を作るという話ではありません。今10時間かかっているところを、5時間程度にしようという改良の話なのです。日本はずっとここに調査を派遣して、向こうから大臣もやってきて、調印までしているのです。しかしまたここでこうした問題が起きています。

一方、バンドンまで行く新幹線の建設はまったく進んでいません。中国が途中から割って入り、持っていってしまった計画ですが、進んでいないということで、これについてもジョコ政権に説明を求めたいところです。私はこういう話があれば、インドネシアから何を頼まれてもやらないという判断が正しいのではないかと思います。やはりドゥテルテやジョコを見ていると、日本はしばらくは何もしないのがいいと思います。

また、インドネシアのバスキ公共事業・国民住宅相は、ジャカルタの首都機能移転について、西カリマンタン州など、3つの州が有力候補との考えを示しました。将来的な土地収容に対する懸念から、国有地を中心に候補地を検討しているということで、インフラ計画では民間の参入を促すということです。

インドネシアの主要地域別のGDP比率を見ると、ジャワ島が半分以上で圧倒的に強くなっていて、その次がスマトラです。スマトラはやや北西に寄り過ぎているので、その次のカリマンタンが候補になっています。カリマンタンは、かつてボルネオと呼んでいたところのインドネシア領の部分です。GDP比率は次いでスラウェシ、小スンダ列島、そしてパプアニューギニアの左側と続きます。

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また、各地域の面積と人口比率を見ると、ジャカルタのあるジャワ島人口もGDPも寄りすぎているのが分かります。そしてその北にあるのが広大なカリマンタン島で、その北の部分はマレーシア領です。インドネシアはヨーロッパと同じ位東と西の間の距離が大変離れています。ヨーロッパの地図を重ねると同じになるのです。またマルク・パプア地域も、ニューギニア島の西半分であり、インドネシアが島としてすべて持っているのは、スマトラ、ジャワ、小スンダ、そしてスラウェシのみです。

ボルネオ島(インドネシア語ではカリマンタン島と呼ばれる)におけるインドネシア領は5つの州に分かれており、そのうちの3州が候補にあがっています。ジャカルタ以外のところにというのは、初めて聞く話です。ジャカルタは今、空港も交通も機能不全になるほど混雑していて、世界最大の駐車場はジャカルタそのものと言われるほど、車が動かない状況なのです。

その点で、新首都という考えはブラジリアに近いと思います。オーストラリアの場合にはメルボルンとシドニーの仲が悪かったので、キャンベラのようなとんでもない場所に首都を持っていったわけですが、ブラジルの場合にはアマゾン側を開発するという狙いと、リオデジャネイロと近郊の仲が悪かったために遠くへ持っていったという経緯がありました。今回の場合は、仲が悪かったというよりも、ブラジル型で、少し奥地に移すという狙いがあるのだと思います。

首都移転をすると何が起こるかというと、ほとんどの議員はジャカルタ近郊から来ているので、週末にはジャカルタへ帰っていくことになります。これは「ブラジリア現象」と言い、ブラジリアという素晴らしい首都をオスカー・ニーマイヤーなどの設計でつくったものの、みんなすぐにサンパウロなど地元に帰ってしまい、なかなか思ったほど首都らしくならないということが起こります。インドネシアでもそうした現象がしばらく起こることになるでしょう。しかし、インドネシアに関しては、あまりにもジャカルタへの一極集中が強いので、この首都移転は良いアイディアだと思います。


※本記事は、グローバルマネー・ジャーナル 2017年7月26日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に無料購読をどうぞ。

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グローバルマネー・ジャーナル』(2017年7月19日号)より一部抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

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