現在、北朝鮮の地政学的リスクがクローズアップされていますが、もし戦争が起きた場合、株価はどのように動くのでしょうか?歴史を振り返り、戦争が株価に及ぼす影響に迫ります。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)
株価が下がるとは限らない、歴史を紐解いて分かった3つの法則
戦争は株価にどのような影響を与えるのか?
第二次世界大戦が終結した1945年以降、大きな戦争は起きていません。特に日本は長い間、平和を謳歌してきました。
ところが、2017年3月下旬頃から、急に北朝鮮の地政学的なリスクがクローズアップされるようになりました。今、米国と北朝鮮は軍事衝突、一歩手前まで来ています。この動向は引き続き注視しなければいけません。
株式投資をしている人の中には、「戦争になっても自分の資産は大丈夫なのだろうか?」と気になっている人も多くいると思います。そこで本稿では、戦争が起きると株価はどのように反応するのかについて、過去の歴史的データをもとに調べていきます。
二度の大戦とS&P500指数
人類の歴史上、大きな戦争は第一次世界大戦と第二次世界大戦の2つです。
<第一次世界大戦>1914年7月28日~1918年11月11日(4年3ヵ月間)
<第二次世界大戦>1939年9月1日~1945年8月15日(6年間)
米国市場の代表的指数であるS&P500の動きを見ると、次のようになっていました。
<S&P500 1909年~1923年の株価チャート(第一次世界大戦前後)>
この株価チャートは、第一次世界大戦が開戦する5年前の1909年から、終戦5年後の1923年までの動きを示しています。第一次世界大戦中(1914年7月28日から1918年11月11日まで)の期間を黄色で網掛けしました。S&P500は1909年から1923年まで7ドルから11ドルの範囲で動いています。
同じように、第二次世界大戦が行われた時期についても確認してみます。
<S&P500 1934年から1950年までの株価チャート(第二次世界大戦)>
株価チャートは第二次世界大戦が開戦する5年前の1934年から終戦5年後の1950年までの動きを示しています。第二次世界大戦中(1939年9月1日から1945年8月15日まで)の期間を黄色で網掛けしました。1942年に7ドル近くまで下落していますが、その後、急反発しています。
戦争期間中だからと言って、株価が一方的に下がり続けることはありません。株式市場は意外にも弾力性があることが伺えます。
株価はいつも通りに上がったり下がったり
戦争期間中だからと言って、株価が一方的に下がり続けることはありません。いつも通りに上がったり下がったりを繰り返すだけです。
S&P500の年足終値は、次のように推移していました。
<第一次世界大戦 1914年~1917年>
<第二次世界大戦 1939年~1945年>
参考までに、下記に米国が戦争していなかった1920年から1925年までの株価推移を示します。
<米国が戦争していない期間 1920年~1925年>
前年比だけに着目して株価の推移を追っていくと、戦争中なのかそうでないのかを見分けるのはほとんど不可能でしょう。第一次世界大戦、第二次世界大戦は世界中の国々を巻き込んだ大きな戦争だったので、株価が大きく下がったと推測していた人が多いかもしれません。ところが、実際にはほぼいつも通りの動きだったのです。