巷の読書法は大抵「お金や時間を無駄にしないようハズレ本を避けて良い本を選ぶ」ことの重要性を説きます。でも実はこれは、金持ちではなく貧乏になる読書スタイルです。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)
※本記事は有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』2017年4月24号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。
大成功する富裕層たちは、想像力と「行間を読む力」に長けていた
「ハズレ本」に「星1」評価をつける前に
オンライン書店のレビューを見ると一目瞭然ですが、同じ本でも評価が分かれます。つまり、読者によって、受ける印象も得られる情報も異なるということです。
その違いをもたらすのは、先入観であったり、感受性であったり、好き嫌いを含めた価値観だったりします。見える人には見えるが、見えない人には見えない。
しかしほんとうに読み取らなければならないのは、著者が「なぜそういう発想をしたのか?」「どのような考えのもとに、それを生み出したのか?」「その結果、いったい何に作用したのか?」ということです。
そうした彼らの「思考プロセス」を想像し、自分に応用して試行錯誤してみることが、「本を役立てる」ということですから。
もちろん、正解なんて著者に聞かないとわからないですから、それが当たっていなくてもいい。でも、そんなふうに考えながら読むと、その他大勢の人には見えない「奥に潜む何か」が見えるようになります。
「欲張りじいさん」はなぜ成功できないのか?
安易な答えを求めると、『花咲かじいさん』という昔話に出てくる「欲張りじいさん」になってしまいます。花咲かじいさんの物語を要約すると…。
昔、正直者のおじいさんが犬を飼っていました。犬が吠えるのでそこを掘ると、大判小判がざくざく出てきた。それを見ていた隣の欲張りじいさんが、その犬を強引に借りて吠えたところを掘ると、出てきたのはがらくたで、怒った欲張りじいさんはその犬を殴り殺してしまった。
悲しんだ正直じいさんは手厚く葬ると、翌朝、犬の墓から大木が育っていた。その木で臼と杵を作り、もちをついたら宝物が出てきた。欲張りじいさんはその臼と杵を強引に奪ってもちをついたら、出たのは石ころばかり。欲張りじいさんはまたしても怒ってたたき割り、燃やしてしまった。
正直じいさんはこの灰を持ち帰ろうとすると、風で灰が飛んで花が咲いた。そこで殿様が通りかかったとき「枯れ木に花を咲かせましょう」と灰をまいて花を咲かせたら、殿様は喜んでほうびをくれた。欲張りじいさんもほうびをもらおうと灰をまいたら花は咲かず、殿様の目に入って怒られ、家来にボコボコに殴られた、という話です。
要するに、「花咲かじいさんは、なぜそういう行動をとったのか?」という背景の思考プロセスを考えず表面的なことだけをマネしても、成功の再現性はもたらされない、ということです。日本のおとぎ話って深いですね。
読者が持っている知的レベルによって、本を読んで理解できることのレベルもある程度変わってくるものです。つまり、良い本や悪い本が存在するというよりも(それもありますが)、良い読み方をする読者と、悪い読み方をする読者の2通りがあるということです。