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バノン解任という茶番。ネオナチを擁護するトランプは戦争に舵を切るのか?=斎藤満

トランプは「ユダヤ人向けビジネス」を継いだだけ

トランプ氏の家系はドイツからの移民で、父親がユダヤ人の資産を隠すために、「ドイツ系」でカムフラージュし、彼らの資金を預けさせ、不動産に運用させていたと言います。親がユダヤ人相手に不動産ビジネスをしていたのを、息子が引き継いだだけの話です。娘婿のクシュナー氏はユダヤ人ですが、やはり不動産ビジネスで財を成し、イスラエルのネタニアフ首相とのパイプ役になるなど、橋渡し役を果たしています。

従って、イスラエルを最も愛するというトランプ大統領がネオナチを擁護するような発言を繰り返せば、政権中枢を占めるユダヤ系幹部の離反を招きかねません。トランプ政権のアドバイザリーを果たしていた財界幹部が、トランプ氏に近いと見られることが業務上の大きなリスクとして離反しましたが、コーン委員長周辺にも同様の意識があり、トランプ氏からの離反を勧める声が出ています。

政権内の「穏健派」対「軍事産業派」の対立は消えていない

トランプ政権の最大の不安定要因はこの「トランプ・リスク」で、これはトランプ大統領自身が辞任するしかないのですが、バノン氏という「触媒」効果を果たした人物がいなくなっても、まだ政権内の、あるいはロックフェラー系内部での「穏健派」対「軍事産業派」との対立は消えていません

後者はバノン氏抜きでも大きな力を持ち、日本に対しても軍事防衛費の拡大を迫り、PAC3では北朝鮮のミサイル防衛には十分でないとして、オンショア・イージス、つまりイージス艦配備のミサイル防衛システムを陸上配備するよう迫り、さらには、日本にも「THAAD」を配備させようとの動きも見られます。

河野外務相小野寺防衛相がワシントンに飛び、「2プラス2」に参加しているほか、来月には麻生財務相も急きょ訪米することになりました。これらは、日本の防衛体制強化、軍事費拡大に向けての地歩固めともみられます。

さらに、北朝鮮にはすでにロシア軍が入っていますが、亡きデビッド・ロックフェラー氏は、核兵器の管理をロシアのプーチン大統領と共同で進める考えを持ち、北朝鮮の核問題も、中国ではなくロシアに任せる可能性があります。そしてロシア軍の動きを正当化するために、あえて米国が北に軍事介入する、とのシナリオもあります。

これはロックフェラー系でも軍事産業派の考えで、ティラーソン国務長官など、同じロックフェラー系でもエネルギー系穏健派とは対立します。またやはりトランプ政権に影響力を行使するロスチャイルド系も、この軍事産業派とは対立する面があります。

ロックフェラーの軍事派はこれまでISを訓練支援したと言われ、トランプ氏はこのIS掃討を掲げていますが、そのISが中東の拠点を失い、欧州やアフリカでテロを展開しています。トランプ大統領はロックフェラー軍事派とともに、テロ掃討に軍備拡大、軍事路線に傾斜する可能性があります。

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