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減産はチキンレース。原油先物をヘッジ売りする米シェール業者の狙い=矢口新

米シェール業者が、原油先物を50ドル以上で、2017年、2018年にかけてヘッジ売りしているという。彼らは投機ではなく、自らのビジネスを継続させるために売っているのだ。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』)

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

※本記事は『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』(2016年12月7日号)の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

米シェール業者がWTIを50ドル以上でヘッジ売りする意味とは?

OPECの減産合意で原油先物急騰

米シェール業者が、原油先物を50ドル以上で、2017年、2018年にかけてヘッジ売りしている。
American Shale Companies’ Rush to Hedge Is Turning the Oil Market Upside Down – Bloomberg

OPECの減産合意後、米WTI先物価格は45ドル台から51ドル台に急騰した。OPECは55ドルから60ドルで安定させたいとしており、ロシアも日量30万バレルながら、減産協力に同意した。

WTI原油先物 日足(SBI証券提供)

WTI原油先物 日足(SBI証券提供)

では、50ドル台や51ドル台で売ってしまったシェール業者は、60ドル近くになると、買い戻しを強いられるのだろうか? そうはならない。

私は1980年代にニューヨークで、米国の証券取り扱い資格、先物取り扱い資格、オプション取扱い資格、ニューヨーク州証券外務員資格を取得したが、先物の試験は主にヘッジ売りについての理解だった。

corn(玉蜀黍=とうもろこし)の生産者が収穫期の値下がりに備えて、先物価格が高い時に売りヘッジをするというものだった。収穫期には反対に値上がりしている可能性はあるが、最低限の利益を確保するために、コストに見合うところからは、ヘッジ売りが出易くなってくる。

また、大規模スーパーマーケットは、pork belly(豚の脇腹肉、三枚肉)が安い時に、大量に仕入れておく。先物は腐らないので、値段に見合うところではどれだけでも買えるのだ。豚肉が値上がりすると、高い現物を買うことになるが、安く買った先物が高く売れるので、安く仕入れできたことになり、バーゲンセールもできるのだ。

シェール原油のコストは、大きくバラツキがあると言われている。20ドル台のものもあれば、100ドルを超えるものもある。コストの高い油田は、価格が下がると閉鎖に追い込まれる。採掘、閉鎖、再開の繰り返しは、余計なコストを生む。

コスト40ドルの油田は、40ドル以下になると閉鎖に追い込まれる。しかし、50ドルで売れることが確約されていると、採掘を続けることができる。いつまで? ヘッジ売りしている期間は取り敢えず安心だ。2018年まで売る業者がいるのは、その為だ。

シェール業者は、ビジネスを継続させるために売っている。70ドルになれば2019年まで売る。90ドルになれば2020年まで売る。確認埋蔵量がある限り、業者にリスクはない。高く売れれば、粗利益が増える。ビジネスそのもののリスク・ヘッジなのだ。また、先物価格が上がれば、コストに見合う油田がどんどん増えてくる。

一方の、減産側は体力勝負のチキンレースだ。体力がなければ参加できない。体力があっても、忍耐力がいる。長期的には、あまり勝ち目はなさそうだ。
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※本記事は『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』(2016年12月7日号)の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』(2016年12月7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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