出光興産(5019)は7月3日、発行済み株式の3割にあたる4,800万株を新たに発行する1,400億円規模の公募増資を行うと発表した。この公募増資は昭和シェル石油(5002)との合併に反対している創業家の持ち分比率を低下させるために行われるという憶測も流れており、創業家は同日、公募増資の差し止め請求を申し立てると発表している。
4日の東京市場では出光興産の株価が10%以上下落し、合併が実現へ向かうとの思惑から、昭和シェル石油の株価は7%程度上昇した。
出光と昭和シェルとの合併は2015年11月に基本合意されたものであり、出光の33.92%の株式を保有する創業家の反対により実現にストップがかかっている。今回、出光が発表した公募増資が行われれば、創業家の持ち分は議決権の3分の1を下回ることになり、創業家の一存では合併を阻止することは出来なくなる。
ただ、公募増資の差し止め請求が申し立てられたため、この増資が「創業家の持ち分比率を低下させることを主たる目的とするもの」と認められた場合には、公募増資にストップがかかるため現時点では一件落着とは言えない。今後もこの案件については注目していきたいと思う。
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