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中国株式市場に再び黄信号。再燃しはじめた理財商品リスク=田代尚機

宝能と恒大、傘下の保険会社を買収目的で違法に利用か

保険業監督管理委員会HPによれば5日、万能保険の業務・経営において問題があり、全体改革の行われていない前海人寿に対して、万能保険の新業務を停止する監督管理措置が発表された。同時に、前海人寿の商品開発管理に問題があるとして、全体改革を進め、3か月の間、新商品を売り出すことを禁止した。(6日、証券日報)

5日に前海人寿の万能保険が業務停止されたのに続き、保険業監督管理委員会は近日中に検査部隊をそれぞれ前海人寿、恒大人寿に派遣するようだ。(7日、中国証券報)

保険会社が上場企業の株式を発行済み株式総数の5%を超えて買い入れた場合、半年間はその株式を売却することはできない。また、筆頭株主となった場合、1年間は売却することはできない。こうしたルールが存在する。

加えて、保険会社は純粋な中長期投資を行わなければならず、合併や経営権取得などを目的とする投機は認められていない

宝能は会長である姚振華氏が100%所有する個人の投資会社である。いわば仕手筋である。

また、恒大集団は許家印会長が率いる民営の大手不動産会社であり、万科企業とはライバル関係にある。

これらの人物は買収目的で傘下に保険会社を置き、これを利用しているのである。やり口としてはとても巧妙である。銀行からの借り入れよりも、資金調達が楽である。高い保証利回りを付ければ資金は集めやすい。

多少高い利回り保証を付けても、大量の資金があれば、それを企業買収に充てるか、株価の釣り上げに充てるかすれば、大きく儲けられる可能性が高い。また、保険資金なので長期で勝負できる…。

残念ながら、今回の件も、当局の監督管理部門の甘さが招いた失態といえよう。

株式市場への長期資金流入が鈍化する恐れ

1月の急落以降、底割れしそうで底割れしない相場が続き、その背景には長期投資家の資金流入があるとみられてきた。その一つがこうした保険資金の流入である。

万能保険そのものは、まさに長期投資であることから、株式市場にとって望ましい。特に5%を超えて保有すれば、制度として、売買制限がかかり、長期安定株主となる。

非常に望ましい長期投資家の買いが、今回の件で規制が厳しくなり、資金流入が鈍化するならば、それは直接株式市場に影響を与えそうである。

この問題のポイントは1点である。前海人寿、恒大人寿以外に、違法行為があるかどうかである。保険資金の運用自由化の流れが阻害されないことを祈るばかりである。

(12月10日作成、有料メルマガから一部抜粋)

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中国株投資レッスン』(2016年12月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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