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中東にミサイル売り込み?危なすぎる北朝鮮の金儲け戦略とセールス術=高島康司

2つのパイプライン計画とイランとロシアの勝利

周知のように、いま中東では、トランプ政権の混乱によるアメリカの覇権の凋落、ならびに中国、ロシア、イランの同盟を核とした一帯一路の経済圏の拡大で、巨大な地政学的な変化が起こっている。

これまで中東では、サウジアラビアを盟主にしたスンニ派の湾岸諸国がアメリカの中東支配の拠点としての役割を担っていた。ちなみに湾岸諸国とは、サウジアラビア、クエート、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、オマーンなどの産油国だ。

一方反米でシーア派のイランは、中東の地域覇権国となるべく、イラクとシリア、そしてイエメンにまで影響力を拡大した。この結果、サウジアラビアを盟主とし、アメリカが支持するスンニ派連合と、ロシアや中国がバックアップするイラン中心のシーア派諸国とが鋭く対立する関係が続いていた。

他方ロシアに大半のエネルギー供給を依存するEU諸国は、過度なロシア依存を脱する方法を模索していた。そのひとつとして、カタールの天然ガスや原油をシリアを中継して南ヨーロッパに送るパイプライン計画を立案した。

この計画の実現のためには、イランに近いシリアのアサド政権を打倒し、親米派の政権に転換する必要があった。これに対しイランは、ロシアと協力してパイプラインを付設し、イランとイラクの天然ガスと原油を、やはりシリア経由でトルコを介し南ヨーロッパに送るパイプライン計画を立案した。

このような状況で、アサド政権のシリア内戦における勝利が確定した。これは、ロシアとイランの軍事介入の結果である。アサド政権の存続が確定したため、シリアはロシアとイランの勢力圏に入り、パイプライン計画もロシア・イラン案が実現する運びとなった。

これはアメリカに支援されたスンニ派連合が負け、ロシアに支持されたイランが、中東の地域覇権国として台頭することが実質的に決定したことを意味する。これはアメリカの覇権と影響力の凋落である。

そして、このような情勢の変化を見たカタールは、ペルシャ湾における天然ガス田を共有しながらも、これまで敵対していたイランに接近し、国交も全面的に回復した。これはサウジアラビアを盟主とするスンニ派連合から見ると、完全な裏切り行為だったので、これらの諸国はカタールと断行した。

このような状況でイランは、2015年に核兵器の開発を断念することを条件に、アメリカとその同盟国が課していた経済制裁を解除され、正常な国際関係への復帰が許された。核合意の成立である。

恐怖し、核兵器の入手先を探す湾岸諸国

イラン・ロシア連合がシリアで勝利し、勢力を拡大し地域覇権国へと向けて動き出したイランとの核合意は、サウジアラビアを始めとした湾岸諸国にとっては安全保障上の最大の脅威となった。将来イランは、秘密裏に、または公然と核兵器の開発を行う可能性は捨て切れない。

このような状況はやはり長年イランと敵対しているイスラエルにとっても、大きな脅威となる。このため、サウジアラビアをはじめとした湾岸諸国とイスラエルは、核合意を締結しイランを国際社会に復帰させたアメリカに強く抗議した。

こうした状況に現実的に対処するためには、イランの核武装を想定し、湾岸諸国が核兵器の保有へと動くしかない。すると、核やその運搬手段であるミサイルの確実な入手先が問題となる。湾岸諸国の支援者であるアメリカは、核不拡散の原則から核を売ることは絶対にしないし、イスラエルも表向きは核兵器を持っていないことになっているので、核兵器を売ることはない。すると、他の選択肢として残るのは、パキスタンの闇市場である。

しかしパキスタンは、イランとの緊密な関係を築いているため、イランと敵対する湾岸諸国に核兵器を売ることには大変に消極的だ。

Next: 北朝鮮がミサイルの供給先として熱い注目を集める理由

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