「改憲翼賛」体制が確立される
第1は、米国の狙い通り、これで憲法改正への発議が容易になり、安全保障関連で米国が日本を利用しやすくなったことです。
これまでも自公で改憲発議に必要な3分の2の議席は持っていましたが、公明党は憲法改正に消極的で、特に第9条についてはまだ機が熟していない、との考えです。公明党の穴埋めがどうしても必要でした。
その点、旧民進党には改憲派も少なくなく、これを引き付けるために、あえて民進党を分裂させるべく、裏で動いたといいます。
前原代表はその点ネオコンとも近く、使いやすい人物で、実際見事に党を分裂させ、改憲派を「希望」に吸収しました。
もちろん、「希望」は改憲に賛成の立場です。この「希望」と「維新」を合わせれば、3分の2は優にクリアし、改憲については大政翼賛の形ができました。米国はほくそ笑んでいるはずです。
これまでは与党が3分の2を占め、発議はできるとしても、国民世論に憲法改正が盛り上がらず、国民投票で過半数をとることは難しいと見られていました。
しかし、国会が改憲派で圧倒的多数となると、議論を広めやすくなり、国民世論を改憲に向けて誘導しやすくなる、との期待もあったようです。
リフレ政策がさらに加速する
第2は、アベノミクスの継続が事実上承認されたことになり、これまでの金融財政面からのリフレ策が強化され、「特区」を利用した規制改革が各方面で進むと見られます。
金融政策では、すでに黒田総裁による「異次元緩和」が行き詰まったとの見方が広まっていますが、この選挙をうけて、黒田総裁の再任も可能になり、必要ならもっと過激なリフレ派を総裁に充てる人事も考えられます。
その最有力候補が駐スイス大使に転身した本田悦朗元内閣官房参与です。