PB黒字化目標を「破棄」しない限り未来はない
安倍政権は、財務省の飼い犬と化しました。このまま我が国は緊縮路線を邁進し、小国化、発展途上国化し、最終的(といっても20年後くらい)には中華人民共和国の属国と化すことになるのでしょう。冗談でも何でもなく、中国語の勉強を始めるべきですよ、日本人は。
無論、2019年10月の消費税増税に際し、事前に景気をかさ上げするために一時的な財政出動はするかも知れませんが、あくまで「一時的」です。
結局のところ、プライマリーバランス黒字化目標の「破棄」という決断を下せない限り、あらゆる政策はPB目標の制約を受け、我が国が本格的にデフレ脱却に向かう日は訪れないという話です。
どれだけ、日本銀行が量的緩和で日本円(日銀当座預金)を拡大したところで、需要(消費、投資)としての支出拡大がない限り、我が国はデフレから脱却しない。当たり前です。
後世の日本人に伝える「なぜ日本が小国になったのか」
後世の日本人に、せめて、「なぜ日本が小国化し、発展途上国化し、中国の属国にまで落ちぶれたのか?」について、事実を残しておきたいと考えます。
というわけで、三橋は小学館『財務省が日本を滅ぼす』を刊行するわけです。これで、三橋の会社に国税がやってくることになるのでしょうが、厳密には財務省が日本を亡ぼした(過去形)わけではありません。
日本国民が、日本の政治家が、ありもしない財政破綻論を妄信し、政府の財政拡大という正しいデフレ対策に踏み出せず、小さな政府路線を驀進し、
「生産性革命です! つきましては、政府は何もやらないので、民間が設備投資してください」
「給料の引き上げが必要です! つきましては、政府は何もやらないので、企業経営者は給料を引き上げて下さい」
と、政府の責任を放棄し、全てを自己責任に委ねるという「グローバリズム」の考え方により、日本は亡びることになりました(過去形)。
議論に際し、ファクト(データ)を無視する。抽象論、印象論、あるいは「ノリ」で適当な発言を繰り返し、過去の自らの発言に縛られ、正しいことを言えなくなる。この手の無責任な議論が積み重なり、日本は亡びることになったのです。
日本を最終的に亡ぼした内閣は、安倍内閣であること、そして正しい情報を無視し、間違った緊縮財政を支持し続けた現代の日本国民であることを、せめて歴史書に記し、語り継ぐことに致します。
財政拡大による「デフレ脱却」のみが唯一の道
まあ、そのうちに言論の自由も失われ、正しい歴史を後世の日本人(もはや日本国民ではない)に残すこともできなくなるでしょうけれど。
といった未来が嫌ならば、正しい言説を広め、政治を動かすしかありません。
日本には財政問題など存在せず、財政拡大によるデフレ脱却のみが「中国の属国」という悪夢を回避できる唯一の道であることを。
プライマリーバランス黒字化という狂った目標を破棄し、財政出動路線に舵を切らない限り、我が国に待ち受けているのは「悪夢」のみなのです。
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年10月27日号より
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