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本当と嘘とアベノミクス。この5年で日本経済はどれだけ成長したのか?=吉田繁治

雇用から見る景気動向

<完全失業率と有効求人倍率、生産年齢人口(20~64歳)>

2007年:3.9% 1.04倍 7700万人
2008年:4.0% 0.88倍 7650万人(-50万人)
2009年:5.1% 0.47倍 7590万人(-60万人)
2010年:5.1% 0.52倍 7560万人(-30万人)
2011年:4.6% 0.65倍 7439万人(-21万人)
2012年:4.3% 0.80倍 7440万人(-19万人)

(2013年から、働く世代の生産年齢人口が急減)

2013年:4.0% 0.93倍 7331万人(-111万人)
2014年:3.6% 1.09倍 7223万人(-108万人)
2015年:3.4% 1.20倍 7136万人(-87万人)
2016年:3.1% 1.36倍 7063万人(-73万人)
2017年:2.9% 1.51倍 7002万人(-61万人)※6月時点

(注1:失業率と有効求人倍率は厚労省より)
(注2:2027年の生産年齢人口は6613万人であり、2017年比で389万人減少。毎年平均で約40万人減少する ※国立人口問題研究所「人口中位予測」より)

完全失業とは、すぐに就業が可能で、しかもハローワークで登録し、探している人です。仕事がなくても、ハローワークに登録しないと、失業率には入りません。

1961年から74年の高度成長期には、わが国の完全失業は1%台前半でした。資産バブル崩壊後の1992年からは、企業の設備投資が減って、失業も5%台に急増したのです。

有効求人倍率も、ハローワークに登録された、パートを含む求人の総数に対する、求職者数です。定期採用になる新規学卒者は、除いています。

パートの求人が増え、正規雇用を希望する人との、労働のミスマッチがあっても、有効求人倍率になります。この場合、失業者は求人があっても就職しない人になるのです。企業の生産性を高めるためのパート求人の増加が、有効求人倍率を上げています。

有効求人倍率は、1人当たり所得の増加と並び、雇用という経済の重要な状態を示す指標です。

そうした計算方法があっても、2014年からは、有効求人倍率が1倍を超え、2017年には1.51倍に上がって、経済が回復したもっとも有力な証拠として使われています

失業率が減っても景気回復とは言えない

しかし、わが国には、他の国にはまだない特殊な事情が加わっています。生産年齢人口(20歳から64歳)の、2013年からの急減です(2013年は111万人の減少)。

団塊の世代(1世代で約200万人)が、65歳になって完全退職し、年金を主な所得にする世代になったからです。年金の受給者は、男女で4025万人(2015年)に増えています(注:公的年金支給額は、総額で56兆円(2016年)。男女1人平均で139万円/年です)。

安倍政権の2013年からは、働く世代である生産年齢人口が、1年に60万人から110万人のボリュームで、2013年から急減し、企業では65歳の退職が増えたため、不足求人が増え、分母の求職者数も減ったため、有効求人倍率が1.5倍にも上がったのです。

景気が回復し(企業の売上と利益が増えて)、必要な雇用が増えたという理由ではありません。全体では、退職数が増えたため、補充の求人数が増えたのに、一方では、新しく就職する20代の人口が1年齢では100万人であり、求職数も減ったからです。これは、20年前からわかっていたことでした。

根底の問題は、今後の経済成長の力を示す潜在成長力です。

Next: アベノミクスが無視している、日本経済「本当の大問題」

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