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本当と嘘とアベノミクス。この5年で日本経済はどれだけ成長したのか?=吉田繁治

「潜在成長力の低さ」という本当の大問題

潜在成長率は、経済の三要素である(1)資本(=企業設備)、(2)生産性、(3)労働をフルに活用したときの、GDPの成長力です。

潜在成長力=資本の増加+生産性の上昇+労働力の増加

資本の増加は、企業の設備投資の増加によって果たされます。このためには、企業の設備・機械・ソフトウェア投資が増えなければならない。店舗、工場、工作機械、倉庫、ホテル、旅館、レストランの増設は、資本の増加です。

生産性の上昇とは、労働1名当たりの、付加価値(粗利益額)の増加です。社員の生産性が高くなることが、生産性の増加です。

労働力の増加は、雇用数の増加です。1人当たりの、商品生産と処理の生産性が高まり、社員数も増えると、企業の粗所得(グロスマージン)である付加価値は「生産性×雇用増」で増加し、稼働している160万社の企業の付加価値(粗利益)の合計に相当するGDPも増えます。

(注:政府職員である公務員と、独立行政法人の準公務員の増加は、その雇用の財源が企業所得と個人所得からの税収であるため、GDPの増加要素にはなりません。NPO法人の付加価値の増加は、GDPの増加要素です。)

<日本のGDPの潜在成長力(概算でしか出ません)>

(1)1980年代:3~4%台
(2)資産バブル崩壊後の1990年代:1%台
(3)金融危機の1990年代後半は、1%未満に低下
(4)2000年代:0.5%~1.3%
(5)2010年代:0.0%~0.5%
(注:試算は、日銀と内閣府のものです)

現実の経済成長(需要の増加)が、潜在成長力(経済の商品供給力)を上回ると、その増加分は物価の上昇になって、バランスします。

潜在成長力を高めるには、労働生産性の上昇か、雇用の増加が必要です。生産性の上昇がないと、企業はコスト増にもなる設備を増加させないので、順序では、利益あるいは生産性の増加が先であり、設備投資は後です。

<労働生産性の増加の実績>

1956年~1970年:5.7%~10.0%/年
1970年代:2.9%~ 5.7%/年
1980年代:2.6%~ 3.7%/年
1990年代:1.6%~ 2.4%/年
2000年代:0.1%~ 1.8%/年
2010年代:0.8%~ 1.0%/年

生産性の増加は、働く人の、賃金の可能な上昇率を示すものでもあります。2010年代の0.8%~1.0%の生産性の増加なら、1人当たりの平均賃金も、0.8%~1%増えるのが上限でしょう。

2000年代からの世帯所得の増加のなさは、わが国経済の、生産性の増加が1%台に低下してしまったことが主因です。

わが国の生産年齢人口は、年平均で40万人(労働者数6000万人に対して0.67%/年)減少して行くことが確定しています。

労働人口の20年後の未来は、今年、産院で生まれる数で決まります。2016年の出生数は97万人でした。初めて100万人を割っています。

(注:68年前の1949年は260万人、1970年代190万人、1980年代150万人、1990年代130万人、00年代がほぼ120万人でした。死亡数が出生数を上回ると人口が減ります。)

2017年以降の、労働者1人当たりの生産性が、2010年代の0.8%から1.0%の実績のままなら、GDPの成長力(潜在成長率)は、生産年齢人口の0.67%の減少のため、実質では、0.33%程度しか見込めません。

これから先、長期での実質GDPの成長率は、0.33%付近が中心になるということです。物価上昇が1.0%なら、名目GDPの長期成長率は1.33%が中心でしょう。

日本経済の中心課題は、生産性の上昇の、企業の努力です。

会社の仕事での、ディープ・ラーニングのAI(認識する人工知能)の利用は、2022年ころから盛んになるでしょう。あと5年です。

Next: 「第四次産業革命」と「財政破綻」のチキンレースに突入する日本

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