ソロスも未来を予知できるわけではない
彼に関する本を読んで驚いたのは、ソロスも決して未来を予知できているわけではないということです。再帰性によるバブルはいつ弾けるから分からず、特に日記調で書かれたは短期の予想はかなり外れていました。
ポンド売りで成功したのは、自身の哲学に基づいてはいたものの、「たまたま」タイミングが良かっただけかも知れません。実際に、その後巨額の損失を出す場面も少なくありませんでした。これが「投資」ではない「投機」の難しいところとも言えます。
また、世界的な投資家たるもの数字には強いと思っていたら、むしろ数学は苦手だと言うのです。金融の最前線では高度な数学を駆使し、新たな金融商品が生み出されていますが、それを使って「投資で」成功した例は記憶にありません。
彼らが稼いでいるのはあくまで投資家への金融商品の販売による「手数料」です。ノーベル賞受賞者による高度な金融理論を駆使して運用されたファンド(LTCM)は、ロシア危機であっけなく破たんしてしまいました。
※参考:『ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ』(著:松藤民輔, 徳川家広/講談社)
投資哲学を確立する
ソロスの考え方をなぞると、投資で重要なのは数学ではなく哲学ということになります。つまり、哲学を確立できれば、数学ができなくても投資で成功できる可能性があるということです。バフェットも「25以上のIQがあれば投資での成功は頭の良さとは何ら関係ない」と言っています(IQ25はさすがに低すぎるとは思いますが)。
ソロスもバフェットも、投資で成功するのは哲学者のように内省的な人物が多いように思います。市場の未来を読むことも大切ですが、最終的には投資は自分との戦いであり、それに勝つには哲学を身につける必要があるのでしょう。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2017年11月12日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。