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高等教育無償化の財源に?「教育国債」にひそむ日本の問題点=久保田博幸

償還財源の当てがない「教育国債」の問題点

そもそも財源の目処もないものについて国債を発行すれば良いという考え方が、あまりに安易すぎる。たしかにいまの日本の債券市場では、日銀が異常な量の国債を買い入れていることもあり、需給はかなりタイトとなっている。日本国債の利回りも日銀の長短金利操作によって低位に押さえつけられており、国債を発行しやすい環境にあることは確かである。

しかし、この環境そのものがすでに変化してきており、このような好環境が未来永劫続くと予想することの方が危険である。日銀もいずれは出口政策を議論せざるを得なくなる。

それでなくても2020年までのプライマリー・バランスの黒字化達成には赤信号が点滅している状況となっているところに、名称を変えたといえど国債を増発するには無理があろう

いまならば年間5兆円程度の国債を増発しても日本の債券市場での需給面では何ら問題はなく、いくらでも調整は利くだろうとの見方もあろうが、国債は打ち出の小槌ではない

市場がいくら安定していようが、市場参加者が日本国債に対するリスクを完全に忘れ去っているわけではない。国債を発行せずに、その分はあらたな税収で賄うものであれば話は別だが、償還財源の当てのない国債を発行することによって財源を補うという考え方は、やや安易な発想と指摘せざるを得ない。
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・1月も海外投資家による日本国債の大量買いは継続」(2/20)
・FRBの利上げとバランスシート縮小の行方(2/17)
・バブルの様相強める米国株式市場(2/16)
・利上げに前向きなイエレン議長(2/15)
・無償化財源に教育国債という安易な考え方(2/14)
・FRBも次第にトランプ色が強まることに(2/13)
・中国の債券先物市場に異変が生じた理由とは(2/10)
・日銀が国債残高の4割を保有する意味はあるのか(2/9)
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牛さん熊さんの本日の債券』2017年1月6日号より
※記事タイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部による

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