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転換点に気づかない2018年株式市場の死角。本当に明日も今日は続くのか=近藤駿介

トランプの命取りに?動き出した「政治問題」

感謝祭明けと共に動き出したのは税制改革法案だけではない。ロシアゲート事件北朝鮮問題やそれに伴うティラーソン国務長官の問題など政治問題も動き出した。

ロシアゲート事件はフリン前大統領補佐官が司法取引に応じて偽証を認めたことで新たな次元に突入し、娘婿であるクシュナー上級顧問など大統領の身内に捜査の手が及びかねない状況になっている。

また、北朝鮮問題を巡ってティラーソン国務長官の進退問題が取りざたされるようになってきているが、ティラーソン国務長官は就任当初からロシアとの関係が問題視されてきた人物でもある。トランプ大統領が推し進める北朝鮮への圧力が思うような効果を挙げていない1つの原因がロシアの存在だということを考えると、「ロシア」がこの先のキーワードになるのかもしれない。

税制改革法案という政権の目玉政策が実現に向けての最終段階に入るのと同時に、政権そのものがロシアゲート事件等で揺さぶられ始めている。この数か月はFRBの次期議長人事や税制改革法案の行方などが市場の大きなテーマになってきたが、感謝祭を過ぎて政治が大きなテーマになりつつある変化にも注意が必要だ。

「イエレン路線継続」を信じて疑わない市場の危うさ

また、トランプ米大統領は空席になっているFRB理事にイエレン議長率いる米金融当局に批判的な意見を持っていたとされる人物でもある著名エコノミストのマービン・グッドフレンド氏を指名した。

メディアは同氏が「タカ派」であるのか「ハト派」であるのかについて決めあぐねているようだ。それは、イエレンFRB議長の低金利政策を批判する「タカ派」的発言をする一方で、マイナス金利政策の効果を認めるなど「ハト派」の顔ものぞかせるからである

しかし、重要なことはグッドフレンド理事候補が「タカ派」か「ハト派」であるかということではなく、グッドフレンド氏は金融当局が「テーラー・ルール」などの金融政策ルールを用いて政策決定を公に評価すべきだという主張をするなど、「イエレンFRB議長とは異なった考え方を持っている」ということである。

市場ではパウエル理事が次期議長に就任することが決まったことで「金融政策はイエレンFRBから変わらない」と安心しきっており、FOMCの構成は2018年から大きく変わることを軽視し過ぎている感は否めない。金融政策に関しての最大のリスクは、「2018年のFRBは2017年までのFRBの延長線上にある」ことだといえる状況になっている。

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