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働き方改革に仕掛けられた「新型サービス残業の罠」から身を守る方法=俣野成敏

2. 制度には必ず「表と裏」がある

現在、多くのファミレスや居酒屋チェーンで24時間営業を廃止する動きが出ています。それは「働く人が集まらない」ことが主な要因です。しかし副業が解禁になれば、昼間の業務が終わった人たちがダブルワークとして、夜や土日の仕事を選択する可能性が高まります。

働きたい人が多くなれば、その分、需要と供給の関係によって夜間の労働時給が下がることが考えられます。

【「残業は減る」世の中になるかもしれないが】

副業が解禁になれば、当然ですがダブルワークを行う人が増えることが予想されます。大多数の人は、「ダブルワーク=賃金労働を複数掛け持ちする」という発想になるでしょう。そうなれば、本業をやっている昼間は働くことができませんから、夜、働くサラリーマンが増えることになります。

たとえば、あるサラリーマンがコンビニで働くことにしたとします。店長から「ウチで働くんだったら、1ヶ月に最低でも60時間()は入ってもらわないと」と告げられれば、働く側は「わかりました」と言わざるをえなくなります。これでは、ただ単に「残業」が「副業」という名前に変わっただけにすぎません。

1ヶ月最低60時間とは、週3日、1日平均5h働くこと。シフト制を採用している飲食業や小売業などで求められる労働時間の目安のひとつ

元来、長く働くのであれば、昼間の業務をそのまま続けた方が、基本的には時給が高くなります。多くの場合、8時間を過ぎれば時間外労働手当や、夜になればさらに深夜手当などが付きます。

ところが、昼間の仕事を8時間で区切り、続きは別のところで働くようになれば、時間外手当は付きません。深夜手当であれば出ますが、注意しなければいけないのは、すでに時給に含まれている場合があるということです。

労働時間を1日8時間で切ってしまえば、企業は残業代を支払わなくて済むし、罰則も受けずに済みます。しかし従業員は少ない給料をカバーしようと、他社で「過労死ライン」と呼ばれる月100時間の副業を自ら行う人が出てくるでしょう。けれど、そうなっても国も企業も「あなたが自ら選んだんですよね?」と言うことができます。

なぜ国が、長時間労働の是正と副業解禁をセットで行なっているのか、そのからくりが見えてきましたでしょうか?

政府は、残業の上限を定めた労働基準法の改正案を国会に提出し、早ければ2019年度より運用を開始したいとしています。

Next: 「副業解禁」だけでなく、すべての政策には必ずウラがある

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