北朝鮮の態度に見られる劇的な変化
ただし、これまでとは違う部分もあります。というのは、核実験の全面中止などの国際的な努力に協力する姿勢を示したことです。
また、核の脅威や威嚇がない限り核兵器を絶対に使用しないことも、核兵器と核技術を移転しないことも明記しました。
さらに、強力な社会主義国を建設し、人民の生活を画期的に高めるとしました。周辺国と国際社会との緊密な連携と対話を積極的に行うともしました。
日米が求める「完全非核化」は実現するのか?
核保有を継続することが明確になっていますので、日米が求めている「完全非核化」は難しいものと思われます。
ここが米朝首脳会談での議題の中心になります。
ただし、ポンペオ中央情報局(CIA)長官がすでに昨年来、北朝鮮を訪問し、金委員長と直接交渉しており、その結果として米朝首脳会談が実現の方向にまで来ています。
報道では最近になってポンペオ氏が訪朝したことになっていますが、実は昨年から行っています。これも独自情報です。
ここまで来たことを考えると、今回の米朝首脳会談では完全核廃棄は求めず、まずは国際社会との対話ができるところまで持っていき、さらに朝鮮統一を米国主導で行うことを提案する見通しです。
「拉致被害者の帰国」はこれまで通り難航する
ですので、日本が求める拉致被害者の帰国や完全核廃棄は難しいでしょう。
米国は日本の拉致被害者には関心がありません。拘束されている自国民の帰国だけがターゲットです。
この部分は、日本が直接交渉するしかありません。北朝鮮にとって、日本はあまりメリットのある国ではないので、交渉はこれまで通り難航するでしょう。
「核戦力の完成」で実験をやめただけ
マスコミの報道を引用すると、今回の金正恩委員長の表明では、非核化に向けて踏み込んだとの印象を受けますが、実はそうでもないということになります。
北朝鮮は昨年11月に、米本土を射程に収めるICBM「火星15」の発射後に「核戦力の完成」を宣言しました。それ以降、核・ミサイル挑発を止めています。
核実験と弾道ミサイルの発射中止は現状を維持するだけともとれるとしていますが、まさにその通りです。
日本のマスコミは真の情報を持っていないので、どうしても推測記事になってしまいますが、私の情報は決定事項です。この差は大きいですね。
一方、今回廃棄を表明した北東部豊渓里(プンゲリ)の核実験場も、すでに役割を終えているとの見方もあります。この実験場は、もともと日本の所有物で、これを転用したわけです。
韓国の北朝鮮専門家の間では、17年9月の6回目の核実験で核弾頭開発の技術的な課題は解決したとの見方が支配的ですが、それはまず間違いありません。