まるで自由がない「米ドル連動型コイン」
USDコインは、仮想通貨とは言うものの、政府の規制とメガバンクの影響から決して無縁ではありません。
確かに、これは私たちが持っている「自由な仮想通貨(暗号通貨)」のイメージとはほど遠いデジタル通貨です。
シリコンバレーの投資家サム・オルトマン(Sam Altman)をはじめとするいくつかの企業は、規制や企業の影響力が仮想通貨市場に与える影響は徐々に大きくなってはいるものの、米ドルベースの暗号通貨は分散管理下にとどまるべきだと強く主張しています。
この新しい米ドル連動型コインは、イーサリアムのプラットフォーム上で動作するので、USDコインをマイニングするよりイーサリアムをマイニングするか、USドルでコインを買う必要があります。
サークル社は、今年2月、仮想通貨取引所のポロニエクスの買収を発表しました。いずれにしても、ウォール街の巨大金融機関が投資家になり替わってビットコインのトレードを行うというアナウンスメントを与えたということは、メガバンクが仮想通貨市場をコントロールしようと本格的に乗り出したということです。
ニューヨーク証券取引所が仮想通貨オンライントレードを準備している?
さらに、ニューヨークでは、もうひとつの大きな動きが始まっています。
5月7日付のニューヨークタイムズは、「ニューヨーク証券取引所の親会社が、大口投資家を相手に仮想通貨オンライントレードのプラットフォームに取り組んでいる」と報じています。
ニューヨークタイムズもまた、ゴールドマンサックスが後援するサークル社がポロニエックスを買収したことを報じており、仮想通貨界隈のざわめきを誘っていますが、ニューヨーク証券取引所に関する報道が事実であれば、超弩級のサプライズとなるかもしれません。
ただし、ニューヨークタイムズは、「計画は、まだ秘密にされているので、あくまで内部関係者からのリークに過ぎない話ですが」と断り書きを入れています。とはいえ、ウォール街で、この種のリークが報じられたのも初めてのことでしょう。
ゴールドマンサックスに続いて、ニューヨーク証券取引所の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)のこうした動きは、今までの地下経済の担い手であるかのような仮想通貨のイメージを一新するかも知れません。
しかし、現時点では、インターコンチネンタル取引所が進めている仮想通貨プラットフォームの詳細は確定されていません。
ウォール街の大手金融機関の関係者の間では、ニューヨーク証券取引所にビットコインが上場されることは、まさしく仮想通貨のワイルド・ウエスト(西部開拓時代)ともいうべき一大エポックとなるため、このプロジェクトが破綻する可能性は十分ある、と見られています。
うわさの域を出ないが、事実ならば…
インターコンチネンタル取引所の広報担当は、今のところ、すべての報道に対して「ノーコメント」を繰り返しているようです。
ビットコイン先物については、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)を含むいくつかの大きな金融取引所がすでにスタートさせていますが、インターコンチネンタル取引所における新しい運用は、ブロックチェーンの分散型台帳機能を活用して、おそらく、トレード終了時に顧客の口座に現物のビットコインを入れることによってトレードを完結させるものと見られています。
そうした意味で、ニューヨーク証券取引所はオンライントレードによって、顧客がビットコインに直接アクセスすることを可能にするものです。