米国の失業率は求職活動を諦めた人々を除外して算出します。まったく実態が見えないので、各種データを見ながら米経済の深刻な失業者問題を浮き彫りにします。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年5月16日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
失業者たちの受け皿だったサービス業・小売業の業績が急激に悪化
実態とかけ離れた「米国の失業率」
米国の雇用統計・失業率の数字は、求職活動を諦めた人々を統計から除外して算出します。また、1時間でも労働すれば就労となるのですから、不思議な統計であり、実態と大きく離れています。
失業した正規従業員は、大抵はアルバイト・パートの非正規従業員となり、それも叶わないならば、ひきこもりか路上生活者になります。
政府雇用統計で新規雇用数が上昇したと言っても、それはアルバイトやパートでの雇用数ですから、悲しい話です。
今後12年間で、いま存在する雇用は減って3分の2になるだろうという分析報告もあります。
となれば、今後は非正規従業員の仕事も、AI・ロボットに取られていくことになるのかも知れません。
米国景気の実態は悪化の一途
米国景気の実態は金融危機以降、悪化の一途をたどり、自動車販売台数も減少しています。現在では粉飾もできない状態に入りました。
昨年より大量店舗閉鎖・大量解雇の波が押し寄せ、未だに現在進行形で襲来しています。
Sear‘sやトイザラス、それに生鮮食品スーパーまでもが企業の清算整理をしたり、数度目の会社更生法申請をしています。
また、米国新車販売も過去最大の大幅値下げをしようが、頭金ゼロ無審査の自動車ローンを付けようが、もはや売上は減る一方となっています。
2018年4月の解雇予告を受けた人数の最新データ(2018年4月)からグラフを作成しましたので、下の図を見てください。
<解雇予告を受けた人数(2016年4月から2018年4月まで)>
黒色が4月です。全体的に、2017年は比較的少なかったといえるでしょう。
<解雇予告を受けた人数(2014年から2018年4月まで)>
2015年通年の59万8510人をピークに、2016年は52万人台、2017年には41万人台と減ってきました。
4ヶ月間累計で見ますと、下記のようになります。2018年の増加が気になります。
・2016年:24万5061人
・2017年:16万2803人
・2018年:17万6460人