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売れなくなった米国の高級住宅、需要減少と中国勢の一斉売却でバブル崩壊へ

米国でマンハッタンをはじめとする高級住宅の価格が下落しています。新築・中古ともに価格は頭打ちで、住宅バブル崩壊の始まりとの声が囁かれる状況です。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年8月9日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

貿易戦争と住宅金利の上昇が要因。若者は持ち家に手が届かない…

高級住宅が売れなくなっている

米国でマンハッタンをはじめとする高級住宅の価格が下落したとの海外報道があります。報道のタイトルは「米国住宅市場が最悪の減速に向かっているように見える」です。翻訳しながらポイントを解説しましょう。

マンハッタンは、全米の住宅市場の中でも湧き立つ場所だが、どうも乱気流の中に突っ込んだようだ。

広告を出せば数日で売れる物件が、数週間、売れないで困っているのだ。

市内北部の寝室3部屋の物件が、60万ドル強から55万ドルへ下がった物件も出ている状況だ。

米国住宅市場、特に競争の激しいシアトルシリコンバレーオースチンでも、ずっと住宅価格が下落している。

出典:The U.S. Housing Market Looks Headed for Its Worst Slowdown in Years – Bloomberg(2018年7月27日配信)

住宅バブル崩壊の始まりか

購入希望者は住宅金利が上がったので、住宅ローン返済期間を増やすしかない状況だ。ロバート・シラー教授は「もしかすると今が住宅市場バブルの破裂の始まりかもしれない」とインタビューで答えている。

この兆候を示す指標も出てきている。例えば、中古住宅販売件数が4~6月の3ヶ月連続で落ち込み、新築住宅販売件数もここ8ヶ月は売れ行きが陰っている。

長年減ってきた在庫件数も増えているので、新築販売価格も伸び悩んでいるのだ。

中古住宅価格は、前年同月比で5月に6.4%上昇(といっても、2017年以降で最低の上昇だった)。

Capital Economics社の専門家は「住宅価格は高止まりの横ばい。消費者は、半年も待てば価格は下がるだろうし、今後は数年間は収入も伸びないだろうと考えている」と語った。

高級住宅市場は、かなり供給過剰になっており、San Joseでは6月前年同月比で12%増加、同じくSeattleでは24%、Portlandでは32%増加しており、シアトルの不動産業者は「在庫がかなり増えたので、市況は落ち着いた」と語っている。

ポートランドの不動産業者の一人は、売り手の希望価格を叶えようとしているが、買い手は、希望価格以下で購入を打診してきたそうで、「買い手はのんびりと物件を色々探しているようで、これは市況の変化そのものと言える。ピークの後は横ばいになるものだ」と語った。

これはミシガン大学の消費者心理指数の最新データにも表れており、6月調査(先行発表)では米国人の65%だけが、住宅購入の最適時期だと回答しており、これは超不況だった2008年以降で最低レベルとなっている。

出典:同上

次項では、高級住宅だけではない、新築・中古を合わせた米国住宅市場全体の衰退について書かれた部分を紹介します。

Next: 持ち家は若者にとって届かぬ夢。今後はゆっくりと販売件数が落ちていく

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