新築も中古も価格上昇が止まった
しかし、住宅販売分野は、現在でも失業率低下と安定した経済成長を背景に、今後も強いと複数の市場専門家は見ている。
Pantheon Macroeconomics社のアナリストは「多分、新築も中古も販売のピークが来ているのだろう。今後はゆっくりと販売件数が減るのだろう」と見ている。
米国国勢調査局の最新データによると、2017年第2四半期の住居保有率は63.7%だったのが、64.3%に微増している。それを受けて、Freddie Macの主席エコノミストは「販売の伸びも価格の上昇も落ちて来ているようだが、それでも住居保有率の伸びは落ちていないようだ。ただし、現在の64.3%と言う率は50年平均から見ると1%低く、これは2008年の住宅危機の傷から未だ立ち直っていないのだろう」と語った。
S&P CoreLogicケース・シラーデータでは、住宅市場が軟化しているようで、主要20都市の指標では2017年5月から2018年4月までの1年間で、価格は6.6%上昇している。しかし、季節調整後で見ると、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンでは過去10ヶ月で最小の月間価格上昇率だった。
出典:同上
持ち家は届かない夢
価格上昇が止まってきた中古物件ですが、それでも低所得に喘ぐ米国の若者にとっては手が届かない価格です。そのため、さらに中古物件の価格は下がると見られています。
自宅所有は、特に若い米国人にとって、手の届かない願いなのだ。
米国不動産協会によると、6月の中古物件の平均価格は上昇して、27万6900ドルの最高値を記録し、発売から完売までの期間は平均26日とここ3ヶ月間は変化ナシの状況なのだという。
全米不動産協会は、次のように分析している。
「価格の手ごろ感がなくなってきており、割安なアラバマでは販売が増えたものの、カリフォルニア州では、売れていないし、金利上昇で毎月の支払額がどれ位まで上昇するのか、誰にもわからない」。
「金利が上がり、他方で収入も厳しくなれば、今後は価格上昇が持続可能な状態で上がり続けるとは思えない。住宅市場が冷えてくると、建築業者は新規着工件数を安全なレベルまで落として、バブル破裂のリスクを減らすだろう」。
消費者の需要の下落を、建築業者の供給絞り込みだけで調整できれば問題はないが、リスクはそれだけではないのです。
特に高級住宅物件の需要が減っているのが注目に値します。
次頁でさらに関連記事を紹介しますので、ぜひゆっくりとお読みください。
米中貿易戦争の影響で、米国の高級不動産価格を急騰させて来た中国勢が一斉に退却したという台湾報道(AP電)を紹介します。報道のタイトルは「米中の貿易戦争:複数の中国企業が米国不動産資産の売却に走っている」です。
中国企業の債務を減らすために、中国政府が指導しているとの噂です。噂ですが、さもありなんとも言えます。