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トルコリラ暴落が世界金融危機の引き金に。日本経済はこの残暑に耐えられるか?=近藤駿介

米利上げ「先送り」の口実になり得る

今回のトルコリラの急落によって生じた金融市場の混乱は、今後のFRBの金融政策にも微妙な影響を及ぼす可能性を秘めている。

金融市場は、次々回(9月25日・26日)のFOMCでの25bpの利上げ確率を91.2%と高く見積もっている。7月にトランプ大統領がFRBの利上げに対して「好ましくない」とFRBの独立性を脅かす発言をしたこともあり、FRBがあらぬ疑惑を掛けられないためにも持続的利上げを継続するという見方もが加わり、利上げ確率を高く見積もるのは当然だともいえる。

しかし、金融市場の混乱によって、FRBがそれを理由に利上げを先送りする可能性が出て来たといえる。実際に2016年3月に当時のイエレンFRB議長は「海外経済と金融市場には引き続きリスクがある」という理由で利上げを見送った実績がある。

FRB内からも「逆イールド」や「中立金利」について懸念する声が上がっていることを考えると、市場の混乱によってFRBはトランプ大統領に対する忖度という疑念を与えずに利上げを先送り出来る口実を得られたともいえる。

8月のFOMC議事録に注目

6月のFOMCからは中立金利研究の一人者であるウィリアムズ元サンフランシスコ連銀総裁がNY連銀総裁としてFOMCの副議長という重要なポジションに就いている。

こうしたFOMCのメンバー変更に伴って「逆イールド」や「中立金利」に関してどのような議論がなされていたのかを知るうえで来週23日に発表されるFOMC議事録には注目である。

同じく23日からは恒例のジャクソンホールでのシンポジウムが開かれる。パウエル議長が講演をするかは定かではないが、足元の金融市場の混乱についてどのような発言がなされるのかも大きな注目である。

夏休みの後の金融市場は厳しい残暑になりそうだ。

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image by:Wikimedia Commons

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元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』(2018年8月13日号)より抜粋
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