タブー扱いされているのか大手メディアは全く報じないが、東京五輪の陸上競技用「サブトラック」を巡る利権争いが起きている。このままでは間に合わない可能性がある。(『アクセスジャーナル・メルマガ版』山岡俊介)
※本記事は有料メルマガ『アクセスジャーナル・メルマガ版』2018年8月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:山岡俊介(やまおか しゅんすけ)
1959年生まれ、愛媛県出身。神奈川大学法学部卒。零細編集プロダクションに2年半在籍し、29歳で独立。91年『週刊大衆』の専属記者を務めながら『噂の真相』『財界展望』などを中心に記事執筆。主な著書に『誰も書かなかったアムウェイ』『アムウェイ商法を告発する』(以上、あっぷる出版社)、『銀バエ実録武富士盗聴事件』(創出版)、『福島第一原発潜入記 高濃度汚染現場と作業員の真実』(双葉社)など。
いろんな思惑が交差して施工業者はまだ未定。しかも仮設で行く?
東京オリンピック開催まで2年を切った
2020年7月24日から開催される東京五輪まで2年を切った。
先月7月17日・18日には、報道陣にメーンスタジアムとなる新国立競技場や4つの競技会場、選手村の建設現場が公開され、工事は順調に進んでいると報道させてお祭ムードを盛り上げている。
工期や費用などの問題から当初のザハ案が白紙になり、建設着工が大幅に遅れた新国立競技場建設も、来年11月には完成予定だという。
しかし、本当にすべて順調なのか?
仮設で間に合わせる、陸上競技のサブトラック
実は一部関係者の間で懸念されているのが、陸上競技のサブトラック問題だ。
50M走など大半の陸上競技は,新国立競技場に設置される8レーンの400Mトラックを使って行われるが、国際記録として承認される世界選挙権などと同様、使用競技場から徒歩圏内に、まったく同じ8レーンの400Mトラック設置が義務づけられている。選手のウォーミングアップのための場所として必要だからだ。
当初、このサブトラックは明治神宮外苑の神宮第二球場に作るという案もあったが、なぜか立ち消え、昨年7月ごろ、同じ神宮外苑の軟式野球場に決まった。しかも、こちらは“常設”ではなく“仮設”となった。
東京都の説明不足に地権者が激怒?
昨年9月末、新国立競技場は東京五輪開催後、サッカーなどの「球技専用」とすることが決まったが、これは軟式野球場のサブトラックが“仮設”となったことが大きい。
明治神宮が“常設”を認めなかったのは、東京都が、新国立競技場の建築主である「日本スポーツ振興センター」(JSC)、明治神宮などの地権者と15年4月に「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」を締結しながら、以来、3年近くまともな話し合いをしなかったことに激怒した結果ともいわれる。
そもそも新国立競技場内にサブトラックを作ればいいと思うのだが、旧競技場より収容人数を拡大した結果、敷地不足になったからだ。
当初、19年のラグビーワールドカップを新競技場で開催したいという思惑があり、そのために収容人数を拡大。もっとも、ザハ案の白紙撤回で完成が遅れ、ラグビーワールドカップを新国立競技場でやることは不可能になった。
その意向は、森喜朗元首相(東京五輪組織委員会会長で日本ラグビーフットボール協会名誉会長)のごり押しだったとの見方もある。