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サウジアラムコ上場中止に見る権力政治、今後はトランプ政権の出方次第か=斎藤満

時価総額2兆円規模のIPOと騒がれていたサウジ国有石油会社の上場が中止になりました。その背景にあった2つ壁と、変化した原油価格シナリオについて解説します。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2018年8月24日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

変化した原油価格シナリオ。反トランプ勢力が裏で動き出した?

サウジアラムコ上場に立ちはだかった「2つの壁」

ロイター通信が23日に報じたところによると、サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコ来年新規に株式上場(IPO)を目指していましたが、複数の関係者によると、これが中止になり、ファイナンシャル・アドバイザー・チームが解散されたとのことです。サウジ当局はまだ認めていませんが、関係筋によれば、かなりの確率で中止決定と見られると言います。

伏線はありました。もともとは今年の上場を予定していたのですが、準備が間に合わず、来年に先送りされていました。今回の中止ともつながりますが、2つの壁が立ちはだかったようです。

ムハンマド皇太子、企業価値「2兆円」へのこだわり

1つは、サウジアラビアの当事者、ムハンマド皇太子が、上場によって2兆ドルの資金を手に入れたいと計算していました。つまり、皇太子は2兆ドルの企業評価にこだわっていたのですが、ファイナンシャル・アドバイザーの評価はせいぜい1.5兆ドルで、25%の溝が埋まらなかったといいます。

言い換えると、グローバル・コーディネーターを務めるモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、HSBCには、2兆ドルの市場評価に持ち込む力がなかったとも言えます。

態度を変えたトランプ

そして、サウジアラムコの上場には協力すると、ムハンマド皇太子に伝えていたトランプ大統領が、態度を変えて非協力的になった可能性もあります。

トランプ氏は、米国の石油資源を優先したい思いがあるほか、ここでコーディネート役を担うこれら国際金融資本との折り合いが悪くなっていたからで、彼らがこの上場で巨大な手数料収入を手にすることを良しとしなかった面があります。

金融政策においても国際金融資本の影響力を排除し、政権の意向を反映させたいとの思いが強いと言います。

また、時価総額が巨額になるため、サウジ国内での上場ではとても賄えず、海外でもニューヨーク、ロンドン、香港などでの上場を検討していた模様です。しかし、かつて「9.11」の主犯格がサウジ出身者とされ、ニューヨークでの上場には、今後も様々な形での政治リスクが付きまとう可能性があり、サウジは消極的でした。

ここでもトランプ大統領の出方如何というリスクがあります。

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