カジノで外国人観光客を呼び込むという政府の発想は時代遅れだ。本家の米・仏でもカジノ倒産が相次ぎ、林立した韓国やマレーシアのカジノも儲かっていない。(浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』浜田和幸)
※本記事は有料メルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』2018年8月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
カンボジア以外は閑古鳥が鳴く。なぜ世界の状況は変わったのか?
カジノはもう時代遅れ
ぶっちゃけ、「カジノで外国人観光客を日本に呼び込む」という政府の発想は時代遅れもはなはだしい。
去る7月20日、参議院本会議で可決、成立したいわゆる「カジノ法案(統合型リゾート実施法)」であるが、カジノを取り巻く国際情勢を無視しており、現状では失敗が避けられないだろう。
アジア地域でカジノが繁盛していたのはマカオ、シンガポール、カンボジアが御三家。
しかし、カンボジア以外はいずこも集客が減り、収益も急落している。
中国人ギャンブラーが減少している
その最大の理由は中国人ギャンブラーの減少である。
実は、マカオやシンガポールのカジノで大枚を投じていたのは、中国の党や政府の幹部たちであった。
その実態は資金洗浄であり、事前に胴元とすり合わせをしており、裏金を渡した上で、「勝った、負けた」の振りをしながら、最終的に利益を懐に入れて帰国する仕掛け。
個人マネーではなく公金であるため、1回の掛け金も100万円や200万円は当たり前。
そうした洗浄資金ありきのカジノブームであった。
ところが、習近平国家主席が綱紀粛正を掲げ、幹部の腐敗を徹底的に取り締まるようになったため、カジノを訪れる公金持参の中国人は激減。
その結果、マカオもシンガポールもカジノは閑古鳥が鳴く有様。
もちろん、少額の掛け金でスロットマシーンやルーレットを楽しむ個人客はいるが、投じられるお金は微々たるものだ。
米仏でもカジノが倒産
本家のアメリカやフランスでもカジノは倒産が相次いでいる。
そんな中、ベトナム、マレーシア、韓国でもカジノが林立したが、実際は儲かっていない。
唯一、気を吐いているのがカンボジアである。
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