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ビットコイン長者は1万に1人だけ。逃げ遅れた日本人が知りたくない仮想通貨のウラ=大村大次郎

元国税調査官ならではの視点で仮想通貨のリスクについて解説している、経営コンサルタントでフリーライターの大村大次郎さん。今回は自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、いわゆる「億り人」は仮想通貨購入者の1万人に1人しかいないという真実や、何にでも手を出すヘッジファンドが仮想通貨市場に参入してこない理由などを記しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2018年6月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

飛びついた日本人の大半が大損失。まだどん底まで下げていないが

“億り人”の真実

国税庁の発表で、仮想通貨で1億円以上儲かった人(いわゆる「億り人」)のだいたいの人数が判明しました。まずは、5月25日に配信された時事通信のニュース記事を読んでください。

1億円超収入、300人規模=仮想通貨売買活発で─国税庁

2017年分の確定申告で雑所得の収入が1億円超あったとした納税者のうち、仮想通貨の売買で収入を得ていた人が少なくとも331人に上ることが25日、国税庁のまとめで分かった。昨年は相場高騰で、いわゆる「億り人」の急増が話題となった。国税庁は「331人の収入の大半は、仮想通貨売買によるものではないか」と分析している。

17年分の確定申告をした人は、前年比1.3%増の2,198万人。このうち、納税の必要がある641万人の所得金額は同3.4%増の41兆4,300億円、申告納税額は同4.6%増の3兆2,000億円だった。雇用の改善や株価が順調に推移したことなどが影響したとみられる。

仮想通貨売買による所得は雑所得として計上される。公的年金以外の雑所得の収入額が1億円以上だった納税者は、前年の238人から549人へと急増。このうち、仮想通貨取引で収入を得ていた人が6割超を占めた。(2018年5月25日 時事通信配信)

著者の解説:仮想通貨を始めた人の大半が大損

この記事を読むと、「億り人」は300人以上もいるんだ! 儲かっている人が多いなあ、俺(私)も仮想通貨をやってみよう、と思う人も多いかと思われます。

が、少し冷静になってもらわなければなりません。まず、仮想通貨をやっている人購入している人の母数から見ていきましょう。国内での仮想通貨の取引者は、364万人です。億を稼いだ「億り人」というのは、364万人のうちの300人ちょっとというわけです。実に1万人に一人しか億り人はいないのです。一時は、仮想通貨を買えば、誰もが大儲けできるように言われてましたが、決してそんなことはないのです。

ビットコインは2017年の初頭には10万円程度だったのが、年末には200万円以上の値をつけました。だから、たくさんの人が儲かったはず、という印象を持つかもしれません。しかし、ビットコインは、1年をかけて少しずつ上がっていったわけではありません。年末に急激に上がったのです。

社団法人「日本仮想通貨交換業協会」が平成30年4月に出した「仮想通貨取引の現状報告」によると、日本国内の仮想通貨の入金額は、平成29年11月までは月1,000億円を超えていませんでした。が、翌月の平成29年12月には1兆円を超えているのです。つまり、たった1か月で10倍もの入金があったわけです。ざっくり言えば、この1か月の間に仮想通貨を買った人(買った金額)が10倍近くに増えたのです。「仮想通貨を始めた」という人の大半は、この平成29年12月に集中しているわけです。

そして、ご存知のように、平成30年の1月には仮想通貨は大暴落をしてしまいました。だから、仮想通貨を始めた人の大半は大損をしているはずなのです。

投資の素人たちが買い支えているビットコイン

仮想通貨は、これまで何度か資金流出事件などを起こして世間を騒がせてきて、今年の1月も大きな事件がありました。そのため仮想通貨の価格は暴落しました。が、現在、仮想通貨の価格は下げ止まっています。ビットコインなどは、最高値に比べれば、半値以下になりましたが、しかし、それ以上は値が下がりません。

株式市場などでは、一旦、暴落した株は、とことん下がり、紙切れ同然になることも少なくありません。特に、企業が何か不祥事などを起こし、信用を無くしたような場合は、一気に値が下がってしまいます。しかし、仮想通貨はそこまでの値下がりはしていません。だから、「仮想通貨は将来性があるから値が下がりきらないのだ」という解釈をして、今でも仮想通貨に期待している人はたくさんいます。

しかし、仮想通貨の値が下がりきらないのには、実は他に大きな理由があります。それは、仮想通貨が、簡単に言えば「投資の素人の相場」だということです。

Next: ヘッジファンドが手を出さぬ理由

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