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英国よ本当にEUを出ていくのか? 国民投票後に変化した意外なデータ=矢口新

世界情勢は刻々と変化している。来年2019年3月末にEU離脱を控えた英国は、予定通りにことを進められるのか。現状と日本への影響について改めて考えたい。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

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プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

英国民の生活はどう変わるのか? 交渉が進むブレグジットの現状

2019年の春、英国はEUを出ていく

2016年6月23日、英国でブレグジット(英国のEU離脱)についての国民投票が実施された。結果は51.9%対48.1%となり、EUからの離脱派が勝利。投票率は71.8%、3000万人以上が票を投じた。

今回は2019年3月末での離脱を控えた英国の現状と、日本への影響について解説したい。

選挙の結果を改めて見てみよう。英国(グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国)を構成する4地域のうち、イングランドは、53.4%対46.6%で離脱支持が多数。ウェールズもまた、52.5%対47.5%で、ブレグジットに賛成した人が多かった。

一方、スコットランドでは62%が残留を支持、離脱派は38%だった、北アイルランドでは残留派55.8%、離脱派44.2%だった。このことから、スコットランドでは、むしろ英国から独立し、EUに残留すべきだとする運動が起きている。

残留派の敗北を受けて当時のデイビッド・キャメロン首相は国民投票当日に辞任を発表。後任として、内相だったテリーザ・メイ氏が新首相に就任した。メイ氏もEU残留派だったが、離脱派だった主要なライバルらが辞退したため、保守党の党首選を経ずに首相に就任した。

メイ首相は、国民投票の結果を尊重し、現在はブレグジットを支持している。メイ首相の主な主張は「ブレグジットはブレグジット」で、2017年3月29日には、EU離脱に向けた2年間の手続きを発動した。

離脱交渉開始も、世界情勢は大きく変化している

ブレグジットに向けた正式な交渉が、予定通り2018年6月19日に始まった。当初のブレグジットはポピュリズム(大衆迎合主義)の勝利と呼ばれ、英国だけが特殊で、民主主義の危機などとも言われた。ところが、EUのコアであるドイツの与党敗北による不安定な連立政権の成立フランスの首長交代、また、準コアと言えるイタリアの政権交代をはじめ、EU加盟諸国で、その政権が盤石だと呼べるところを探すのが難しくなった。

また、大西洋の対岸の米国では、トランプ大統領という権威主義を目の敵にする、まさにポピュリズムと呼んでいい首長が誕生した。

ここに、BBCがまとめているブレグジットの詳細をベースに、投票後に変化した世界情勢と、日本への影響など、日本人投資家が知っていた方が良いと思われるところを要約、かつ補足する。
※参考:Brexit: All you need to know about the UK leaving the EU

重要な今後の日程

<2018年10月18日>

EUサミット開催。条約批准に向けてブレグジットまでに英国議会、EU加盟国のそれぞれに協議する時間を与えるため、両者ともにこの日のEUサミットで、ブレグジット後の両者関係の概要について合意しておきたいとする。

<2018年12月13日>

EUサミット開催。10月サミットで合意事項があれば、ここで見直しや確認を行う。

<2019年3月29日>

両者に合意があろうがなかろうが、英国時間午後11時、ブラッセル時間真夜中に、英国はEUから離脱する。

<2020年12月31日>

すべてが計画通りに進めば、この日の英国時間真夜中に移行期間が終了する。

Next: 本当に離脱は可能なのか? 歴史的な国民投票を振り返る

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