英国に住むEU市民に何が起きるか
英国に5年間在住し、永住権を持っているEU市民は、ブレグジット後も権利が奪われる心配はない。しかし、メイ首相は将来の英国に住むEU市民の法的立場や権利は、EU離脱後もEU域内にとどまる120万人の英国人と同じものでなければならないとしている。
EU側のブレグジット交渉を主導するミシェル・バルニエ主席交渉官は英国の提案が不十分であり、現行のEU法で保障されているものと同じレベルが必要とした。
移民は減るか
メイ首相は、ブレグジットを決めた国民投票は、英国民が移民削減を望んでいるという最も重要なメッセージの1つだとしている。メイ首相は、入国者数から出国者数を引いた差である純移動の人数を年間10万人未満の「持続可能な」水準に下げる決意を持ち続けているため、移民削減が離脱交渉の焦点になると述べた。
2016年に英国へ入国した純移動は推計24万8000人で、2015年から8万4000人減った。英国に入国した総数の内訳は、EU市民以外が26万4000人、EU市民が25万人だった。英国を出国したとみられる総数33万9000人のうち、11万7000人がEU市民だった。
EU域内で働く英国民には何が起きるか
多くはEUと結ぶ合意の内容次第だ。もし英国政府がEU市民の労働許可に制限をかけると決めれば、ほかの国々も英国民に労働ビザを申請させるなど、同等の措置を講じる可能性がある。
英国で働きたいEU市民についてはどうか
この点についても、人材が不足している業種で技能を持った労働者に限って入国させるという、現在EU市民以外に適応しているような労働許可制度を英政府が導入するか否かの決断にかかっている。
市民に助言を提供する団体、シチズンズ・アドバイスは、EU市民の権利はまだ変わっておらず、EU離脱の国民投票を受けて差別を受けたと感じる人には連絡をするようにと、あらためて呼び掛けた。
ビジネス界は
一部の例外を除いて、大企業はEU残留を支持していた。加盟国でいた方が資本や労働力、商品を動かすのが容易だからだ。
ロンドンは金融ハブという重要な役割を担っていただけに、どれぐらいの雇用が他のEU諸国の金融の中心都市に流れてしまうかが懸念されている。米大手銀行のうち、4社はロンドンに残り、シティの地位の維持に貢献したものの、HSBCはパリに約1000人分の雇用を移動させることがBBCの取材で明らかになっている。
ブレグジットの影響で商品の安全性が損なわれる可能性は
おそらくないと言える。英国が現在の安全基準を廃止するか否かにかかっているものの、EUへの輸出を検討している企業であれば、どこでもその安全基準に従わざるを得ないからだ。企業が同じ種類の商品を英国内向け、EU向けの2パターン作る可能性は低い。