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英国よ本当にEUを出ていくのか? 国民投票後に変化した意外なデータ=矢口新

ブレグジットに追随する国があるか?

ブレグジットが成功したからといって、例えば、イタリアが追随するのは必ずしも簡単ではないとはすでに述べた。イタリアはユーロ圏なので、既に独自の通貨・金融政策を放棄している。また、欧州大陸とは陸続きで、「往来の自由」を放棄しようとしても、現実的には難しい。単一市場のメリットと「往来の自由」とが密接過ぎて、多分に不可分なのだ。これは、他のユーロ圏諸国にも共通だ。

とはいえ、ユーロ圏諸国に共通の、「単一の通貨・金融政策でありながら、個別の財政」であることの弊害は、ユーロに長くいればいるほど、国の経済が弱体化する懸念を高めている。ユーロ圏は、通貨・金融と財政とを分離したままでいることで、政治力の強い一強と、多弱とが宿命づけられていると言える。

ユーロ圏最大のリスクは「ドイツ政局の不安定化」

この蟻地獄から逃れるには、個々の国々がブレグジットに追随するのでは無理で、ユーロの解体しかないのではないか?

私は、将来、移民政策や多弱への援助に耐えられないと感じるようになった。もはや一強のドイツにしか、ユーロは解体できないと見ている。その意味で、ドイツ政局の不安定化が、ユーロ圏最大のリスクだ。

日本経済への悪影響は無視できる

世界の金融界の契約書は英文で表記されるので、国際間での取り決めは、英国の法律か、ニューヨーク州の法律に従ってきた。これは、ブレグジット後のEUでも変化がないと思われる。

貿易協定を見ても分かるように、EUとの協定は総括的なので便利だ。また、単一市場なので、ヒト、資金、モノの調達にも便利だ。

しかし、実際の取引には個別の相手がいるので、常に個別の対応が求められる。その時、例えば、日本企業の英国への進出が、ブレグジット後は、政治、法律的にEUとは無関係になる。これまでの、二重のリスクが単純化されるのだ。

日本企業にとっても、ブレグジットにはメリットもデメリットもあるが、十分に対応できるのではないかと思う。また、単一市場やユーロ圏そのもののリスクが大きくなってきていることを鑑みる時、ブレグジット故に英国を避けることが賢明な判断だとは思えない。


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・3年6カ月ぶり伸びの「家計の体感物価」って何?(2/26)
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・ボラティリティを味方につけろ!(2/7)
・株価、一時的な調整か?(補足)(2/6)
・株価、一時的な調整か?(2/5)
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年7月31日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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