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英国よ本当にEUを出ていくのか? 国民投票後に変化した意外なデータ=矢口新

家計への負担は?

先日のロイターの記事では、各家計に年間最大14万円の損失と予測されていた。

英国が欧州連合(EU)を離脱すると、各世帯へのマイナス効果は最大で毎年960ポンド(約14万円)に達する──。コンサルティング会社オリバー・ワイマンがまとめた報告書でこうした見通しが示された。家計の負担が増えるのは、労働状況の変化や関税、役所手続に関するコストを引き受けなければならないためだ。

報告書は、ブレグジット(英のEU離脱)に5種類のシナリオを想定し、英国がEUの関税適用を避けられるかどうかでマイナス効果が245ポンドから960ポンドまで大幅に違ってくるとみている。

その中で最も家計に打撃を与えるのが、EUが英国に世界貿易機関(WTO)の最恵国に対する関税を適用し、英国がEUの関税同盟と単一市場から切り離される事態。

報告書によると、ポンドの下落で消費者物価がさらに押し上げられかねず、英国が非EU諸国と自由貿易協定を結べる可能性があっても家計へのマイナスを十分に相殺できないという。

出典:英のEU離脱、各家計に年間最大で14万円のマイナス効果=報告 – Reuter(2018年7月23日配信)

ここでは、年間最大14万円の損失をどう捉えるかだ。私は、移民政策のコスト云々よりも、英国の重要政策をEUが決めることのコストをどう見るかの方が重要だと見ている。

EUは政府(理事会)も議会も、選挙で選ばれるわけではない。一方、英国は政府も議会も、選挙で選ばれる。つまり、英国民の民意をより強く反映できるようになるのが、ブレグジットだ。

そのコストが一家計最大で年間14万円だということだ。これは試算なので、逆にプラス効果となることも考えられる。そして、そうした効果に関しても、英国民の民意をより強く反映できるようになるのだ。

トランプ米大統領の功罪

トランプ大統領はメディアに叩かれている。なので、功罪などと言うと、功績などあるのかと思う向きもいられるだろう。そういった人たちは、北朝鮮との緊張緩和でさえ、「騙されているだけ」と受け取られるのかも知れない。しかし、トランプ大統領が強調したように、北朝鮮はこの半年以上も1発のミサイルも発射していない。発射台の取り壊しも確認されている。米兵の遺骨も返還した。

先のことは誰にも分からないが、少なくともこれまでの事実は、緊張緩和に向けて進んでいる。日本でもアラートがならなくなった。これはこれまでの米大統領だけでなく、日中ロシアの首脳の誰もが成しえなかったことで、私はトランプ大統領の功績だと認めている。

とはいえ、私はトランプ大統領の最大の功績は、「政治を分かりやすくした」ことだと見ている。同氏の発言で、世界の市場が右往左往しているので、意外に聞こえるかも知れない。

ポピュリズムとは不思議な言葉だ。民主主義とは大衆の政治参加であったはずだ。大衆の政治参加の究極の形が国民投票で、その意味では国民投票が数多く行われる欧州各国は民主主義の先進国だ。しかし、ブレグジットを決めた国民投票が大衆迎合主義だと言われた。つまり、ポピュリズムを非難する勢力、一部のメディアは、逆に民主的でもなく、大衆の意見を反映しているわけでもないことになる。

私は、ポピュリズムの反対語は、権威主義だと見ている。大衆を下に見るのだから、何らかの権威を自任している勢力なのだ。一部のメディアは、そのエリート意識から、権威主義になっている。権威主義はトランプ大統領の天敵だ。だからこそ、トランプ大統領はメディアに叩かれるのだ。

「政治を分かりやすくした」ことの意味は、権威主義の建前をぶっ壊したことにある。米国エスタブリッシュメントの建前、EUの建前、NATOの建前、対北朝鮮の建前、対イスラエルの建前、これらを悉くぶっ壊し、本音だけで向かっているのがトランプ大統領だ。

歴史を学ぶと、世界は基本的には「力」で動かされ、理不尽なことが山積みであったにもかかわらず、現在生きている我々は、そんなことは昔話で、今は恵まれていると感じさせられている。米国は世界の警察として欧州や日本など同盟国を守ってくれるので、多少の理不尽には目を瞑るべきだと言うのが、これまでの理解だった。それには、世界を白と黒にわけ、黒のロシア、中国、北朝鮮から、白の代表として米国が守るという構図が必要だった。トランプ大統領の出現で、世の中が分かり難くなったと感じる人は、そうした白黒の建前を信じ、単純化した世界の作り話を現実世界と混同していたのだ。

そうではない。世界は昔と変わらず「力」で動いていると、分かりやすくしてくれたことが、トランプ大統領の最大の功績だ。

トランプが「ブレグジット成功への下地」を作った

では、功罪の「罪」の面は何か?最大の権力が、本音丸出しの政治を行うことの、世界の「災難」だ。ましてや、トランプ大統領は露骨に自己中心的なので、世界は振り回される。

そうしたトランプ大統領には、国連や国際機関、EUなどといった権威主義が通用しない。

このことは、ブレグジットが成功に繋がる可能性が高まったことを意味する。これまでは組織から抜けることが、世界的に袋叩きの対象ともなったが、トランプ大統領はそうした「群れる」体制を叩いている。

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