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日経平均1万7372円が変動下限。「理論株価」最新データ分析(~9/18)

変動範囲下限は1万7372円。かい離率で判断する現在の位置づけ

図から、青線の範囲内のかい離率は上下にバラバラに変動しており、先行きどのように動くかを判断するのは困難です。

一方、上か下かを問わずかい離率が赤線に接近するかあるいはその外にはみ出た場合は速やかに反転していることが分かります。すなわち、相場が割安あるいは割高と判断する領域に入ったと言ってもよさそうです。

そして、かい離率が青線と赤線の間にある場合は、今後赤線に近付いていくのかどうか見極める注意が必要という事になります。

以上をまとめると、

  1. かい離率が青線の範囲内にある:相場は通常の変動範囲内にあるので静観する
  2. かい離率が青線と赤線の間にある:相場は警戒領域にあり今後の動きを注視する
  3. かい離率が赤線の外に出る:相場は高値・安値判断の注意領域、臨戦態勢をとる

さて、下の図は上のかい離率の変動範囲を日経平均と対比できるよう水準に置き換えたものです。

日経平均の通常の変動範囲と反転限度の推移 ─2014.1.6~2015.9.18─

日経平均の通常の変動範囲と反転限度の推移 ─2014.1.6~2015.9.18─

日経平均は紺色の線で、通常の変動範囲については上側を紫色、下側を緑色で示しています。臨戦領域を意味する変動範囲の2倍については上側を変動範囲の上限として赤色で、下側を変動範囲の下限として青色で示しています。

図から、日経平均が変動範囲の下限の青線に近付くと急反発し、上限の赤線を超えると急反落していることが分かります。こうしたケースはこの間に4回あり(下限接近が2014年4月14日と10月17日、2015年9月8日、上限超が2015年4月23日)、それぞれに矢印で示しカッコ内にその日付を入れています。

最近の動きを見ると、5月頃からは通常範囲の上側にピッタリとはりついており、そこから上側に抜ければ高値の警戒領域に入るところでしたが、8月末に一転して急落、通常範囲の下側も突き抜けて変動範囲の下限に近付きました。

ところで、上の図では8月の急落後の動きが立て込んで見えにくいので、6月以降の動きを取り出して示したのが下図です。

日経平均と警戒領域、注意領域 ─2015.6.1~2015.9.18─

日経平均と警戒領域、注意領域 ─2015.6.1~2015.9.18─

日経平均は9月以降、警戒領域に入り8日には一時、注意領域に近付きましたがその後やや反発、現在は警戒領域の中で推移しています。ちなみに直近の9月18日時点の注意領域(変動範囲の下限)は1万7372円となります。

相場感の位置取りが難しい時にこうした客観的な判断材料をご参考のひとつにされるのはいかがでしょうか。

筆者プロフィール:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

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投資の視点』(2015年9月23日号)より一部抜粋

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