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山崎和邦氏「十年兵を養うはこの日のため」が示す投資の極意とは?

9月5日の『岡崎・鈴木のマーケット・アナライズ(BS12チャンネル)』に出演した山崎和邦氏。その放映後に番組プロデューサー氏と交わしたメールでの質疑応答を限定公開!

この質疑は、同番組の放送内容に興味を持った毎日新聞の取材を、番組プロデューサー氏が山崎氏に取り次ぐ形で行われました。質疑を元にした記事は9月11日付の毎日新聞20面に掲載されています。

資産構築の極意「十年兵を養うはこの日のため」が意味するもの

山崎氏への質問(1)

先般、山崎先生がBS12チャンネル『岡崎・鈴木のマーケット・アナライズ』に出演された折、「アナザーアングル」コーナー冒頭で「十年兵を養うはこの日のため(※1)という格言を紹介されておりました。

そこで、この3ヶ月における日経平均の動きを踏まえ、「十年兵を養うはこの日のため」の格言から導かれる、山崎先生の見解を詳しくお聞かせください。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

山崎和邦氏の回答

投資市場における賢者と愚者との違いは紙一重で、わずかの差によって対岸の向こう側とこちら側に分かれます。

この「紙一重」は、投資市場で金融資産を構築してきた人と、真剣に長年やってきたのに資産が蓄積されなかった人、実際にこの両者を分かつものであります。野村証券現職時代に多くの投資家と長年付き合って確信したことを、自ら投資家の立場で実践し、一応目標通りの金額を達成した上での体験知でもあります。

それを一言に尽くせば、「大天井圏の前で全部を売り切って現金で保有して大幅下降を待つ。暴落が始まったら喜んですぐに買わずに存分に底値近くまで引きつけて待つ。現ナマを保有したまま手を出さないでじぃっと耐えて待つ。安値に来たら何回かに分けてナンピン買い下がる。それは誰でも知っている歴史ある大型株が良い、そうすれば概ね必ずや10割高から30割高をする」というものです。

金融資産は、こうしなければ構築できません。

ゆえに「十年兵を養うはこの日のため」という格言は、「大底圏内を買うために大天井近くを売り切って現ナマにして待つ。何年でも待つ。そして暴落が来たら『今まで現ナマを抱いて待っていたのはまさしくこの日のためだ』と、弱気になりがちな自己に言い聞かせ、世論に逆らって総弱気の中を敢然と買って出る」の意になります。

平成になってからでさえ、日経平均が半値になったことが5回、1年内に5000円下がったことが7回ありました。いまはすでに3000円下がりました。

大天井近辺で売っておかねば大底圏内で買うことができず、しかも塩漬け株を抱いて暮らすという、不健康な生活を長く味わうことになります。このタイプが投資家の8割~9割です。

山崎氏への質問(2)

上記(1)の質問に関係すると思いますが、山崎先生の言う「トリプルトップは休むも相場」についてもあわせて教えていただけませんか?

山崎和邦氏の回答

大天井を売ることは誰にもできません。まずはこの自覚が必要です。大天井を確認して、事後に売るのもむずかしいです。

ヒトは以前の「高値覚え」の病いに侵されるからです。よって、大天井圏の兆候が見えたら売ると言う意味です。その兆候は、

  • ダブルトップ(コメ相場以来で言うところの「毛抜き天井」)
  • トリプルトップ(同じく「三尊天井」)
  • 逆鍋底型大天井(「丸型大天井」)
  • 逆V字型大天井

この4種です。コメ相場以来300年間、この4種しかありません。

ゆえに「トリプルトップは休むも相場」とは、大天井の兆候が見えたら全部売って、10年待つつもりで「休む」と言う意味です。

この「休む」は、相場から付かず離れずの距離で、観察しながらも手を出さない、という意味です。剣の道で言う「一足一刀の間境(いっそくいっとうのまざかい)」です。

「休む」とは、相場から離れて止めてしまうのではなく、一種の戦闘行為を取り続けていながら手は出さない、という意味になります。 江戸時代のコメ相場以来の言葉です。「焦るな、相場は明日もある」とも言います。

※1 十年兵を養うはこの日のため
この“相場格言”は約40年前、山崎和邦氏が野村証券支店長時代に常用し社内で流行した。山崎氏によれば正確な出典は不明だが、もとは旧帝国海軍由来ではないかという(山本五十六「百年兵を養うは一日の用にあてるためである」「百年兵を養うはただ平和を護るためである」山口多聞「十年兵を養うには一にしの日のためである」等)。ちなみに山崎氏は戦艦三笠保存会の正会員である

山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2015年8月23日号)より一部抜粋・再構成
※チャート画像はMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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