「裏の裏は表になる」から「結論は買いだ」となるか?
郵政上場の売却益は東日本大震災の復興財源に充てると言うからまさに国策である。
これは財政出動なしで財投効果をもたらしケインズの乗数が掛かってGDPに対し1倍以上に効いてくることになる。
そうすると「国策に売りなし」「結論は買いだ」という平凡な言い分に落ち着くが――。しかしながら、10日に発表された16年3月期の純利益予想は3社とも芳しくないのである。
日本郵政とゆうちょ銀行は2ケタ減益、3%増益を見込むかんぽ生命も経常利益は3割減益の予想であった。減益企業である上に、相場の地合いも必ずしも良いわけではない。
郵政3社の想定価格は控えめの水準となろう。ゆうちょ銀行が約6兆3千億円になり三井住友と同等になると見る。
PBRは3メガバンクの0.7倍に対して、ゆうちょ銀行は0.5倍の見込みだ。日本郵政のそれは0.4倍で、3社とも東証1部平均の1.3倍より大幅に低い。
紆余曲折はあろうが、小さく産んで大きく育てることを当事者は望むことになると見える。日本郵政のPERが16倍弱で決まれば、これは類似業種の物流大手ヤマトホールディングス(ヤマト運輸)より低い。
ちなみに、裏の裏は表になる、という命題については、シャーロック・ホームズシリーズ『最後の問題』における悪の天才モリアーティ教授とホームズの駆け引きを題材に、週報や拙著『あなたはなぜ株で儲けられないのか―市場と株式投資の人間学』(ダイヤモンド社)でも詳述している。
「裏の裏は表か」については本稿でも次回以降触れるが、関心のある方はそちらもあわせてご参照いただければと思う。
山崎和邦(やまざきかずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。
大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、近著3刷重版「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)等。
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